おかげさまで、チーズ工房も少しづつ安定してきているようである。
媒体に載ったら、お昼を食べるのが3時になった日もあるが、うれしい悲鳴だ。
忙しいのだが、4月になって、なんとか落ち着いてきたので、このブログも月2回くらいなら書けそうだ(と思っている)。
書きたいことはいろいろあるのだが、テーマが分散するので、どうまとめていくかが課題である。
書きたいことはいろいろあるのだが、テーマが分散するので、どうまとめていくかが課題である。
いずれは、チーズの製造本として、まとめたいと思っている。
前置きはさておき、乳脂肪である。
乳中の脂肪は、球状で、水分中にプカプカ浮いていると思っていい。
これを「脂肪球:le globule gras 」といい、乳は、脂肪球の「乳濁液」なのである。
ややこしい言い方になったが、ドレッシングをイメージしていただくとわかりやすい。
油分と水分が分離しているドレッシングを振って、中身が混ざると混濁する。
あれですな。
脂肪球は、乳中の水分の中で安定しているので分離せずに混ざったままになるが。
脂肪球の構造は、というと、常温で、中央に液状のトリグリセリドがあり、それを固形のトリグリセリドが包んでいる。
トリグリセリドについては、Wikiだがこちらを参照していただきたい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/トリアシルグリセロール
表面に膜があり、膜の外側の部分は、タンパク質、ミネラル、水でできていて、内側の部分に、リン脂質がある。(図1参照)
牛乳の脂肪球は、1〜5nm(最高で22nmくらい)で、ばらつきがある。
そして、大きいのが特徴だ。
表1を見ていただきたい。
脂肪球の大きさは、動物によって、かなり変わる。
先ほど、脂肪球は乳中で安定していると書いたが、牛乳は大きい脂肪球が浮いてくる。
ホモジナイズすると、浮いてこないのは、脂肪球が小さくなるからだ。
山羊乳の脂肪球は、小さいので一晩静置しても浮いてこない。
これは、チーズを作るときに楽ですな。
筆者は、現在牛乳を使っているが、一晩おくと、かなりの脂肪が浮いてくる。
そのまま使うとかなりMGが高くなるので、エクレメ(écrémé:脱脂)しているが、
ちょっとめんどくさい。
羊の脂肪球の大きさを調べてみたのだが、見つからなかったので載せていない。
しかし、文献によると、羊も脂肪球が小さいので、浮かないということである
面白いのは、ラクダ。
かなり脂肪球が小さいので、消化にいいらしい。
余談になるが、ヤギ乳は、脂肪球が小さくて(3nm以下)、ミセル・ド・カゼインが大きいのである。
タンパク質の変化の幅は小さいが、脂肪分はいろいろな原因でかなり変化する。
牛の場合、脂肪分はだいたい3,5〜4,5%だが、以下の状況で変わってくる。
1. の牛の種類だが、図2を見ていただきたい。
カナダの資料だが、2013年のものである。
平均して、ホルスタインは3,84%、ジャージーは4,95%、ブラウンスイスは4,17%の乳脂肪分である。
これを見ても、牛の種類によってかなり違うことがわかる。
2. の泌乳時期による変化だが、簡単に言うと、出産直後と涸乳前は固形分が多い。
図3 を見ていただきたい。
要するに、子を産んだ直後と乳分泌が終了する直前は、乳量は減るが、濃い牛乳であり、20〜32週目は、乳量は増えるが、水分を多く含んだ、水っぽい牛乳になるということなのだ。
3. の搾乳の途中というのは、搾乳している間も変化しているという意味である。
4. の季節では、ヤギ乳の資料が手に入った。
図4を見ていただきたい。
ヤギの資料なので、乳量は、1〜3月が多くなっているが、蛋白質量、脂肪量ともに、乳量が増えると減少しているのが見て取れる。
また、夏は、乳量も減り、蛋白質量、脂肪量ともに少ない。
5. の餌であるが、これはまた色々な情報があり、一概には言えないが、トウモロコシやコルザ(菜種)などを与えると、脂肪量が増えると聞いている。
餌による乳固形分の研究は、盛んだ。
お次は、乳脂肪の成分。
大雑把に言うと、乳中の脂肪は、98,5%がトリグリセリド、1%がリン脂質、1%がコレステロール、トコフェル(ヴィタミンEの本体をなす物質)、脂溶性ヴィタミンである。
トリグリセリドは、脂肪酸(酸)とグリセリン(アルコール)がエステル結合したものだが、乳中に含まれる脂肪酸の種類はいろいろある。表2と表3をご覧いただきたい。
ヤギ乳、羊乳には、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸が牛乳に比べて多い。
この脂肪酸が、ヤギや羊の乳や肉の特有の匂いの元だと言われている。
特にヤギ乳の特有のにおいは、4-エチルオクタン酸(総脂肪中 13mg/g)と4-メチルオクタン酸(総脂肪中 80mg/g)が原因と言われている。
(カプリル酸はオクタン酸の慣用名)
雄ヤギの特異臭の主要構成成分と言われているのだから、臭いわけだ(雄ヤギは、猛烈に臭いのだ)。
乳中の脂肪は、球状で、水分中にプカプカ浮いていると思っていい。
これを「脂肪球:le globule gras 」といい、乳は、脂肪球の「乳濁液」なのである。
ややこしい言い方になったが、ドレッシングをイメージしていただくとわかりやすい。
油分と水分が分離しているドレッシングを振って、中身が混ざると混濁する。
あれですな。
脂肪球は、乳中の水分の中で安定しているので分離せずに混ざったままになるが。
脂肪球の構造は、というと、常温で、中央に液状のトリグリセリドがあり、それを固形のトリグリセリドが包んでいる。
トリグリセリドについては、Wikiだがこちらを参照していただきたい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/トリアシルグリセロール
表面に膜があり、膜の外側の部分は、タンパク質、ミネラル、水でできていて、内側の部分に、リン脂質がある。(図1参照)
図1:牛乳の脂肪球の構造 |
そして、大きいのが特徴だ。
表1を見ていただきたい。
表1:脂肪球の大きさ |
先ほど、脂肪球は乳中で安定していると書いたが、牛乳は大きい脂肪球が浮いてくる。
ホモジナイズすると、浮いてこないのは、脂肪球が小さくなるからだ。
山羊乳の脂肪球は、小さいので一晩静置しても浮いてこない。
これは、チーズを作るときに楽ですな。
筆者は、現在牛乳を使っているが、一晩おくと、かなりの脂肪が浮いてくる。
そのまま使うとかなりMGが高くなるので、エクレメ(écrémé:脱脂)しているが、
ちょっとめんどくさい。
羊の脂肪球の大きさを調べてみたのだが、見つからなかったので載せていない。
しかし、文献によると、羊も脂肪球が小さいので、浮かないということである
面白いのは、ラクダ。
かなり脂肪球が小さいので、消化にいいらしい。
余談になるが、ヤギ乳は、脂肪球が小さくて(3nm以下)、ミセル・ド・カゼインが大きいのである。
タンパク質の変化の幅は小さいが、脂肪分はいろいろな原因でかなり変化する。
牛の場合、脂肪分はだいたい3,5〜4,5%だが、以下の状況で変わってくる。
- 牛の種類
- 泌乳時期
- 搾乳の途中
- 季節
- 餌
1. の牛の種類だが、図2を見ていただきたい。
図2:牛の種類による乳生産量と平均的乳成分 http://www.dairyinfo.gc.ca/index_f.php?s1=dff-fcil&s2=mrr-pcle&s3=mpb-plr より |
平均して、ホルスタインは3,84%、ジャージーは4,95%、ブラウンスイスは4,17%の乳脂肪分である。
これを見ても、牛の種類によってかなり違うことがわかる。
2. の泌乳時期による変化だが、簡単に言うと、出産直後と涸乳前は固形分が多い。
図3 を見ていただきたい。
図3:泌乳期の乳量とタンパク質、脂肪量の変化 (注 上段のグラフは、乳量、下段の実線は脂肪含有量、点線はタンパク質含有量、下の数字は、週を表している。グラフ真ん中の0の線は、平均値を示している。https://hal.inria.fr/hal-00895941/document ) |
3. の搾乳の途中というのは、搾乳している間も変化しているという意味である。
4. の季節では、ヤギ乳の資料が手に入った。
図4を見ていただきたい。
図4:季節によるヤギ乳組成の変化 (注 黄色の線は、脂肪量、赤い線は、蛋白質量、黒い線は、総乳量。最下段は、1月から11月までを表す) http://public.terredeschevres.fr/1_PRINCIPAL/1_3_1_lait/2_evo_compo_lait.html |
また、夏は、乳量も減り、蛋白質量、脂肪量ともに少ない。
5. の餌であるが、これはまた色々な情報があり、一概には言えないが、トウモロコシやコルザ(菜種)などを与えると、脂肪量が増えると聞いている。
餌による乳固形分の研究は、盛んだ。
お次は、乳脂肪の成分。
大雑把に言うと、乳中の脂肪は、98,5%がトリグリセリド、1%がリン脂質、1%がコレステロール、トコフェル(ヴィタミンEの本体をなす物質)、脂溶性ヴィタミンである。
トリグリセリドは、脂肪酸(酸)とグリセリン(アルコール)がエステル結合したものだが、乳中に含まれる脂肪酸の種類はいろいろある。表2と表3をご覧いただきたい。
表2:牛乳中の主な脂肪酸 (Initiation à la technologie fromagèreより) |
表3:動物別脂肪酸含有量(g/ 総脂肪量100g) (Initiation à la technologie fromagèreより) |
この脂肪酸が、ヤギや羊の乳や肉の特有の匂いの元だと言われている。
特にヤギ乳の特有のにおいは、4-エチルオクタン酸(総脂肪中 13mg/g)と4-メチルオクタン酸(総脂肪中 80mg/g)が原因と言われている。
(カプリル酸はオクタン酸の慣用名)
雄ヤギの特異臭の主要構成成分と言われているのだから、臭いわけだ(雄ヤギは、猛烈に臭いのだ)。
また、乳脂肪は、チーズにも関係の深い物質である。
チーズの口当たりや、においは、脂肪やその分解物によるところが多い。
チーズの口当たりや、においは、脂肪やその分解物によるところが多い。
近頃、脂肪分の少ない、あるいは脂肪分ゼロのチーズがあるが、美味しさの点でなかなか難しいところだ。
フランスのギオトー社は、パヴェ・ダフィノアのレジェ、すなわち低脂肪のチーズを出している。他にもたくさんの低脂肪チーズがあると思うが、フランスではよく見かけたチーズだ。
普通のパヴェの脂肪分が100g 中 20g なのに対して、100g 中 9g なので、半分以下である。
ただ、味となると筆者は???だった。
パヴェ・ダフィノア レジェ (http://www.pavedaffinois.com/pave-daffinois-leger-libre-service/) |
パヴェ・ダフィノア オリジナル (http://www.pavedaffinois.com/lait-de-vache/) |
脂肪というのは、食品を美味しくさせる作用があるようだ。
チーズに関して言えば、ヨーロッパでは、健康志向で、低脂肪のものも好まれるようだが、日本では高脂肪のものが人気である。
チーズに関して言えば、ヨーロッパでは、健康志向で、低脂肪のものも好まれるようだが、日本では高脂肪のものが人気である。
例えば、クリームチーズ。
フレッシュチーズといえば、クリームチーズを思い浮かべる方が多いだろうが、よく見かける、クラフト社のフィラデルフィアクリームチーズは、100g中の脂肪分が、31,1gである。(http://www.morinagamilk.co.jp/products/cheese/philly/280.html)
カマンベールのようなソフトタイプが、100g中約20gであることを考えると、結構高い。
ちなみに、MGというと、チーズ100g中の脂肪分(脂質といったほうがいい)、固形分中脂肪(G/S)というと、固形分中の脂質の%だから、間違えないように。
タンパク質もチーズにとって重要な要素であるが、脂肪も重要な要素の一つだ。
チーズのウマミは、タンパク質に軍配があがると思うが、風味という点では、脂肪に軍配があがるだろう。
今回は、かなり能書きになったので、わかりにくいかもしれない。
簡単に説明しようと思ったが、いろいろ書いているうちに、難しくなってしまった。
お許し願いたい。
次回は、何を書こうかな?
今月末までに、何かひとつ書こうと思っている。
カマンベールのようなソフトタイプが、100g中約20gであることを考えると、結構高い。
ちなみに、MGというと、チーズ100g中の脂肪分(脂質といったほうがいい)、固形分中脂肪(G/S)というと、固形分中の脂質の%だから、間違えないように。
タンパク質もチーズにとって重要な要素であるが、脂肪も重要な要素の一つだ。
チーズのウマミは、タンパク質に軍配があがると思うが、風味という点では、脂肪に軍配があがるだろう。
今回は、かなり能書きになったので、わかりにくいかもしれない。
簡単に説明しようと思ったが、いろいろ書いているうちに、難しくなってしまった。
お許し願いたい。
次回は、何を書こうかな?
今月末までに、何かひとつ書こうと思っている。