2013年11月29日金曜日

チーズの製造方法 1

12月まであと2日。
巷は、クリスマス色に染まっている。
チョコレートは、バレンタイン時の売り上げが、年間売り上げのほとんど占めると云われているが、チーズの場合は、クリスマスと年末である。
年間一人当たり25Kgチーズを消費するフランスでも、クリスマスは一番の書き入れ時で、小売りはもちろん、製造者も大わらわの季節である。
普段は、スーパーマーケットで買う消費者も、クリスマスのためには、専門店で買う事が多い。
パリのスーパーマーケットのチーズ売り場

製造者は、チーズを熟成する時間が必要なので、時期が少しずれ込み、10月ぐらいから忙しくなる。原乳をかき集めて製造していると言ってよい。
では、チーズの作り方って、どうなっているんだろう?
世界には、たくさんのチーズがあって、作り方は色々と思っている方が多いが、基本はほとんど同じ、3つの段階でできている。

  1. 第一段階:凝固(Coagulation)
  2. 第二段階:脱水(Egouttage)
  3. 第三段階:熟成(Affigage)
工場製では、第一段階の"凝固"の前に、"標準化"(Standardisation)を行う事が多い。
"標準化"と云うのは、脂肪分などを加えて原乳を調整し、いつもほぼ同じ成分状態にすることである。(蛋白質も標準化に使われることがあるそうだが、扱いが難しい)

原乳は、いつも同じ状態ではない。
牛でもヤギでも、羊でも水牛でも、成分は常に一定しているわけではない。
ではどうして違うのか?
牛の場合、子牛が生まれたすぐあとは、子供に栄養を与えるために固形分が多いが、だんだん少なくなり、乳分泌がなくなる時期に、また少し多くなる。
また、夏は乳量が多くなるが、水分が多い。冬は乳量が減るが、固形分が多くなる。
そして、変化するのは脂肪分なのである。
年間を通して、蛋白質の量はあまり変化しないが、脂肪分は、気候や環境、えさ等によって変化する。だから、工場でチーズを作る場合、いつも同じ商品を作るために、成分、特に脂肪分を一定にする必要がある。そのために、標準化が必要になるのだ。
しかし、農家の場合、標準化はほとんどしない。
特に、ソフトタイプのチーズでは、ほぼ行わない。したがって、こうしてできたチーズの固形分中脂肪は、約45%になる。

一方、非加熱圧搾、半加熱圧搾、加熱圧搾の場合、長期熟成を行うので、脂肪の除去を行うことが多い。コンテは、昔、夕方しぼった乳を一晩おいて、クリーム分を浮き上がらせ、翌朝にすくいとって脱脂をしていた。パルミジャーノ・レッジャーノは、現在でもこの方法の様である。脱脂の程度によって、このタイプのチーズの固形分中脂肪は、低くなることがある。例えば、パルミジャーノ・レッジャーノは、DOPの規則によって、32%以上と定められている。
どうして脱脂するかと云えば、チーズ中の脂肪が多いと、長期熟成した際に、脂肪の変質による望ましくない匂いと味が発現するからである。

農家が標準化をほとんど行わないのは、設備をそろえられないという理由が大きい。
コンテの工房のように、機械化の進んだ工房なら、脱脂をする機械を持ち、脱脂乳と原乳を混ぜることによって脂肪分を調節する。しかし、機械は高価なのだ。
このように、工場で作る場合、標準化は必須であるが、農家の場合、必ずしも必要とは言えないのである。

標準化の話が少し長くなった。
次回は、第一段階、"凝固"を説明していこう。
牛乳のタンク

チーズキューヴ:ここでチーズを作ります。

2013年11月25日月曜日

製造方法によるナチュラルチーズの分類 2

今日は天気が悪い。富士山が見えなくて、残念である。
家のベランダから、天気のいい日には、富士山が見える。
家族全員、富士山が好きで、朝の話題が富士山になる事も多い。
先日見えた、富士山の写真である。
冬の朝、空気が澄んでいると、こんな風に見える。
一日気分がいい。

さて、チーズの分類である。
前回、表が載せられると書いてしまったが、無理だった。そこで、表を写真に撮ったものを掲載する事にした。以下のようになる。
製造方法によるチーズの分類
凝固方法と熟成方法による分類

"製造方法によるチーズの分類"表のLactique(ラクティック)が、次の表のCaillés lactiques(カイエ・ラクティック)に、MixとPrésure(プレジュール)がCaillés mixtes et présures(カイエ・ミックスとプレジュール)にあたる。
表1は、熟成方法によるチーズの例がないので、少し判りにくいかもしれないと思い、表2ものせてみた。
要するに、カイエの製法でチーズの性質が決まり、熟成によって、特徴がでる、と云ったところか。同じカイエ・ラクティックでも、熟成方法が違えば、特徴が変わる。同じウォッシュタイプでも、エポワスとマンステールでは、カイエの状態が違うのである。

前回のチーズの分類方法を掲載した後、質問を受けた。
非加熱圧搾タイプと加熱圧搾タイプについてである。
どの時点で、加熱するかと云う事だ。
原乳を低温殺菌する事は、事前処理になるので、チーズ製作工程ではない。コンテは無殺菌乳が原料であるが、分類は加熱圧搾になる、と云う事で、ご理解いただけるだろうか。

筆者は表2で分類すると判りやすいと思うのだが、製造方法が判らないとややこしいだけである。だから、チーズの分類として、こんなのはどうだろう。


  1. フレッシュタイプ
  2. ソフトタイプ
  3. 非加熱圧搾タイプ
  4. 半加熱圧搾タイプ
  5. 加熱圧搾タイプ
  6. プロセスチーズ
この様に6タイプに分け、ソフトタイプの中で、白カビ、青カビ、ウォッシュと云う風に分ける。また、フランスの分類にはないのだが、パスタフィラータは、カイエ・ミックスなので、これもソフトタイプの中に追加する。
クリームチーズの類いはよいのだが、ヤギのチーズのほとんどがフレッシュに入ってしまう。ヤギのチーズは、フレッシュで食べるものも多く、熟成させても食べられるということなので、問題はない。
同様に、この表には入っていないが、ミモレットもややこしいチーズである。このチーズは、非加熱圧搾の部類に入るが、長期熟成させる事も多い。しかも、日本に入ってくるのは、長期熟成が多いのである。だから、ミモレットは、ゴーダ等と同じタイプなのだが、パルミジャーノと同じ加熱圧搾タイプと思われている。作り方で分類すると、すぐ判るのだが。
また、チーズプロフェショナルの分類では、アボンドンスは加熱圧搾に入っている。しかし、加熱温度は重要な事なので、これを一緒にするのは、ちとおかしい。50℃以上と以下では、かなり違う生地になるのだから。
ちなみに、カイエ・ラクティックで長期熟成チーズと大きいチーズの作成は、無理である。生地の組織が、プレジュールとは全く違うからである。

また、フェタについても質問を受けた。
このチーズは地中海特有の塩水漬けチーズである。モッツァレラも塩水漬けチーズの一種だが、フェタは塩抜きをしないと食べられないほどしょっぱい。塩水の塩分濃度が違うからである。
このフェタとモッツァレラ、工場製だと、カイエ・ミックスである。農家製だと、ラクティックの可能性が強いが、工程を直に見ないと判らない。

世界には、色々なチーズがあり、色々な作り方がある。これを分類しようとしても、難しいのである。
しかし、基本的な作り方は、同じなのだ。
次回は、チーズの作り方を説明しよう。
コンテを切る男性。ディジョンの市場にて

2013年11月21日木曜日

ボジョレ・ヌヴォーにあうチーズ

前回のブログでチーズの分類法を書いたが、少し判りにくかったのではないかと思った。実は、表で説明しようと思っていたのだが、ブログに作成した表を貼付ける技術がなかったので、文書形式になってしまったのである。
表を作成する方法を見つけたが、今日は間に合わない。
次回、表形式で、もう少し詳しく説明しよう。

さて、本日は、ボジョレ・ヌヴォーの解禁日である。
今年は少し値段が高くなっているようだが、年に一度のお祭りである。
おそらく、パリと地元は今日一日大騒ぎだろう。
ボジョレ地区

チーズショップで働いていたとき、ボジョレ・ヌヴォーにあうチーズは何だという事で、色々考えた事がある。
ワインとチーズの組み合わせを考えたとき、基本的に、同じ産地の物どうしがよく合う。
ボジョレは、ブルゴーニュの南に位置するが、チーズはめぼしいものがない。もちろん、地元には色々なチーズがあるはずだが、日本に入ってきているとは思えない。
そうなると、一番近い地方、リヨン辺りがいいのではないか。
また、ボジョレの品種はガメイだから、軽くてフルーティーである。
となると、チーズもあまり個性的な物だと、味が喧嘩になるので、軽めがいい。
と云う事で、出した結論は、"サン・マルスラン"。
パリのデパートで売っていたサン・マルスラン


サン・マルスラン


熟成するとやや匂いが強くなるので、チーズ好き向き。

脂肪分が少し高いが、サン・マルスランより匂いも味も穏やかな"サン・フェリシアン"もよくあう。サン・マルスランは60gと小さいが、サン・フェリシアンは、180gほどである。この2つのチーズは、"いとこ"だそうである。
また、他に何か、と考えると、少し酸味の残る"ブリヤ・サヴァラン"、やや若めの"クロミエ"、フランスのチーズではないが、ドイツの"ババリアブルー"、"カンボゾラ"等が良さそうである。すべて柔らかくて口当たりがよいので、女性好みだろう。
固めのチーズだと、"コンテ"の4-6ヶ月熟成のもの、手に入りにくいが産地の近い、"ブルー・デュ・ベルコール・サスナージュ"、若めの"モルビエ"等がよいと思う。
チーズ専門店で、店員さんと相談しながら選ぶのも一手だ。
筆者は、まだ購入していない。
チーズと合わせたら、報告しよう。
マコンの市場のチーズ屋さん。真ん中が、サン・フェリシアン

2013年11月18日月曜日

製造方法によるナチュラルチーズの分類

hospitalityという言葉がある。フランス語では、hospitalité。
"もてなす"と云う意味である。
2020年の東京オリンピック誘致の際、"おもてなし"という言葉が使われて、今、流行っているようである。これを学ぼうという集まりが今度あって、参加予定。
どんな事を学ぶのか、楽しみである。
チーズもサーヴィスする場合、色々な方法があろう。日本だと、レストランなどで、きれいにサーヴィスされているようである。フランスだと、至極おおざっぱであるが。
気取りすぎてもいけない。だけど、素っ気なくてもつまらない。
チーズをうまく見せる方法のヒントにでもなれば、と考えている。

さて、今回は、チーズの分類である。
チーズの分類方法は、沢山ある。例えば、固さによるもの、それに近いが、水分含有量によるもの、脂肪含有量によるもの、大きさ、形、原乳の種類、熟成方法等など・・・
チーズプロフェショナル協会では、ナチュラルチーズを以下の様な6タイプに分類している。

  1. フレッシュタイプ
  2. パスタ・フィラータタイプ
  3. ソフトタイプ
  4. 青カビタイプ
  5. 非加熱圧搾タイプ
  6. 加熱圧搾タイプ

これは、製法と熟成方法を関連させた分類になるだろう。

カイエ(カード)製造方法による分類だと、以下のようになる。

  1. Lactique(ラクティック):乳酸菌優位法で乳酸菌を主に使い、プレジュールは補助              
  2. Mix(ミックス):乳酸菌もプレジュールも両方働かせる
  3. Présure(プレジュール):プレジュール(=レンネット)優位方法で乳酸菌も使用するがプレジュールを主に使用する方法
乳酸菌とプレジュールは必需品。両方を使用して、ヨーロッパタイプのチーズが出来る。
このように、カイエで分類すると、チーズは3種類に分けられる。
Lactique、Mix、Présure(プレジュールはレンネットの事)。
これは、生地をどのように作っているかを示している。
乳酸菌の種類、プレジュールの量、pHなど、色々な要素によって、出来上がるカイエの状態が決まる。出来上がったカイエは微調整こそ効くが、性質は、変えられないのだ。
だからチーズの性質は、ここで決まってしまう。
したがって、プレジュールを投入する時期と量が一番重要なのである。
カイエが確定すると、次にチーズに個性を与える工程が施される。
カイエの切断方法、どのぐらいの大きさに切るか、熱を加えるか否か、型の大きさや、プレスするかしないか、また、お湯で練る、乾燥工程を行う、など。
だから、"カイエの性質+チーズに個性を与える方法"によって分類するのがいいのかもしれない。これに"fromage fondu"=プロセスチーズを加えると、チーズの分類が出来上がる。
プロセスチーズは、チーズの加工品だが、乳文化のない国では主流である。
筆者が小さい頃は、チーズと云えば、プロセスチーズだった。
チーズ好きにとって、今は、いい時代だなあとつくづく思う。
真ん中の陶器入りチーズから時計回りに
サン・マルスラン、アボンドンス、ポン・レヴェク、フルム・ダンベール、ピコドン

2013年11月14日木曜日

チーズの定義

今年は猛暑だったので、酷寒だという話だったが、あたっているようである。
昨日は、この冬一番の寒さという話で、12月の気温だと云う事だ。
こんなときは、鍋に日本酒といきたい。チーズフォンデュに白ワインでもいい。
とにかく、あったまるものが食べたくなる季節だ。
チーズフォンデュをする人が増えてきているようだが、出来合を温めて食す人がまだまだ多い。固いタイプのチーズのうち、パルミジャーノ・レッジャーノやミモレット以外のチーズ(プロセスチーズを除く)なら、ほとんど溶けるので、フォンデュの材料とする事ができる。高脂肪タイプ(サンタンドレやカプリス・デ・デューなど)は、油っぽくなるので、控えめに。

ところで、チーズとは何ぞや。
フランスの規定によると、以下のようである。(原文を載せておく)

定義(フランス)

   La dénomination « fromage » est réservée au produit fermenté ou non, affiné 
ou non, obtenu à partir des matières d‘origine exclusivement laitière 
suivantes :lait,lait partiellement ou totalement écrémé, crème, matière grasse,
babeurre,utilisées seules ou en mélange et coagulées en tout ou en partie 
avant égouttage ou après élimination partielle de la partie aqueuse.
  La teneur minimale en matière sèche du produit ainsi défini doit être de 23
grammes pour 100 grammes de fromage.



"Décret n° 2007-628 du 27 avril 2007 relatif aux fromages et spécialités fromagères"

翻訳すると、

 チーズとは、発酵させたか、あるいは発酵させていない、また、熟成させたか、あるいは熟成させていない、もっぱら以下の乳材料から得られる製品である:乳、部分脱脂乳あるいは完全脱脂乳、クリーム、脂肪性物質、それらを単独、あるいは混ぜ合わせて、完全にあるいは部分的に、脱水以前かあるいは水分を部分的に除いた後に凝固させたものである。このように規定された製品中の固形分は、最低100g中23gでなければならない。
"2007年4月27日、チーズとチーズ製造の専門知識に関する命令 No.628"

要するに、乳に関連する材料を凝固させて脱水し、固形分が100g中23g以上のものをチーズと規定するというわけである。熟成は、してもしなくてもいい。
この規定の盲点は、セロム(=ホエー)が原材料には一定ないことである。
2007年の規定なので、今では改訂されているかもしれないが、筆者はまだその情報は持っていない。

日本の規定は、というと、

vナチュラルチーズ
 
一 乳、バターミルク(バターを製造する際に生じた脂肪粒以外の部分をいう。以下同じ。)若しくはクリームを乳酸菌で醗酵させ、又は乳、バターミルク若しくはクリームに酵素を加えてできた凝乳から乳清を除去し、固形状にしたもの又はこれらを熟成したもの
二 前号に掲げるもののほか、乳、バターミルク又はクリームを原料として、凝固作用を含む製造技術を用いて製造したものであつて、同号に掲げるものと同様の化学的、物理的及び官能的特性を有するもの
v  プロセスチーズ
  ナチュラルチーズを粉砕し、加熱溶融し、乳化したもの
  « 「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」による乳製品の定義 »

である。乳等省令は、インターネットでも、小六法でも確認できるから、読んでみると面白いだろう。
日本とフランスの差に気がついた方も多いと思う。
日本の規定には、固形分の最低含有量の規定がない。
これを見ると、もうすこし、きちんとした法律が欲しいと思ってしまう。
これから、TPPによって、関税が廃止されたり、ヨーロッパからのチーズの輸入関税が下がったり、なくなったりする可能性が高い。チーズの規定をきちんとしておかないと、チーズと云えないものが、チーズとして販売されそうで、気になる。
今回は、ウンチクが多すぎた嫌いもあるが、チーズって、こんなものなのだ。

世界には、いろいろなチーズがあり、作り方も様々。分類方法も沢山ある。
次回は、そのお話にしよう。

ブラウンスイス牛

フランスのいろいろなヤギ
バスク地方で見た羊

2013年11月11日月曜日

ヨーグルト(Yaourt)

ヨーグルトが大好きである。
毎朝、果物と一緒に食べる。今の季節は、バナナ。
ラ・フランスもこれから美味しくなる季節。楽しみである。

毎日食べるので、先日ヨーグルトメーカーを購入した。
TANIKAのヨーグルティア(YM-1200)だ。これが、なかなかよくできている。
http://www.tanica.jp/image/syoku/ygtia2.html

ヨーグルティアYM-1200 色は白
少々値段は張るが、パン用の天然酵母の発酵もできる。納豆もできるそうだが、納豆菌は乳酸菌より力がかなり強いので、同じ容器を使うとヨーグルトがうまくできない可能性がある。容器を別にした方が安全だ。

色々試してみたが、材料としてのお勧めは、"東京牛乳"と"明治ブルガリアヨーグルトおいしい生乳100%"である。
東京牛乳を選んだわけは、東京産。生産者の応援をしたい、これだけ。
筆者は、低温殺菌牛乳しか飲まないのだが、低温殺菌牛乳では、乳中の乳酸菌が邪魔をして、うまくヨーグルトができない。一番最初に試したが、やはり固まらず、飲むヨーグルトみたいになった。味は良かったが、やはり果物にかけて食べたいので、牛乳を高温殺菌牛乳に変更した。

また、ヨーグルト菌を購入して作ってもいいが、筆者は好きなヨーグルトで作ってみた。始めに"明治ブルガリアヨーグルト"(青いパッケージのもの)を使ってみたが、やや固めにできて、時間が経つと酸味が増す。
次に、"小岩井生乳100%ヨーグルト"を使ってみたが、これは難しかった。40℃、7時間でほぼ完成するのだが、小岩井ヨーグルトを種菌として使うと、時間がかかるし、乳清がかなりでてしまう。味は良いのだが、作りにくい。
そこで、"明治ブルガリアヨーグルトおいしい生乳100%"を使ってみたが、これが一番満足のいく結果になった。惜しむらくは、このヨーグルト、この辺ではあまり売ってない。だから、見つけた時に購入するようにしている。
作り方は、ヨーグルティアの説明書に書いてある。

さて、ヨーグルトのウンチクを少し。
乳製品の中で、一番単純な製法である、酸凝固を使っている食べ物である。無殺菌を40℃ほどに保ってしばらくおくと、自然の乳酸菌が、乳中の乳糖を分解して乳酸を作る。乳酸によって、pHが下がり、乳蛋白質が固まって、水様だった乳がジェル状になるのである。現在では、ヨーグルト菌が解明されていて、工場製では、殺菌乳と種菌で作っている。
チーズの原点となる凝固なのだが、ヨーロッパタイプのチーズでは、この方法でチーズを作る事はほとんどない。ポール・キンステッド氏の"チーズと文明"と云う著書の中では、動物性凝乳酵素(レンネット=プレジュール)による乳凝固は、かなり古くから使われていたようである。ただ、その方法は、ヨーロッパで発達し、東洋では酸凝固によるチーズ(ヨーグルト様のものと考えられる)が発達したようである。

チーズの製法は、色々あるのだが、次回から、説明していこう。

2013年11月7日木曜日

日本のチーズ

ずいぶんと寒くなって、木枯らしが吹いたところもあったそうだ。

ブログアドレスのカスタマイズや、コンピューターの環境整備などで、20日間ほどブログを書けなかった。まだまだ整備が整っているとは云えないので、また、書く間隔があいてしまうかもしれない。うまく続けていくのは、難しいものである。

さて、10月30日に、このブログでも紹介した、"All Japan ナチュラルチーズコンテスト"をちらっと見てきた。
横浜の会場

"ちらっと"ではなく、もう少しじっくり見るつもりだったのだが、フランスから来た友人との約束が入り、早々に会場を後にする事になってしまった。そのうえ、"Japan Milk Collection 2013"の会場で、公開であるはずの最終審査を見る事ができなかったので、つまらなかったせいもある。だから、コンテストの表彰式も見なかった。
感想を云えば、"期待したほどではなく、やはり日本のチーズはこうなるのだな"。
会場には、チーズだけではなく、牛乳やヨーグルトなど他の乳製品も沢山あったので、これですべての日本のチーズを批評する事はできない。しかし、相変わらず同じだなと感じた。作っているチーズは、ほとんどが白カビ、と云うより、"カマンベールタイプ"とセミハードの"ゴーダタイプ"。両方とも日本で人気のあるチーズだから、理解できるのだが、ほとんど同じような製品が並んでいる。世界には、いろいろなチーズがあるのに!
わりと名の知れた生産者がいくつか出店していたが、彼らのいい点は、やはりうまい工夫をしている事だと思う。カマンベールやゴーダだけにこだわらずに、独自のチーズを作ろうという努力が見えるのだ。しかし、個人的な感想だが、まだまだレベルの問題がある。

TPPによって、オーストラリアやニュージーランドの安いチーズが入ってきたら、どう対処するのか。また、EUも関税撤廃を求めていると聞く。フランスや、イタリアのチーズが安く出回る事になったら、日本のチーズ生産者は、どのように対応したらいいのか。
"日本のチーズが高くて、美味しくない"と云うスレッドをインターネットで見た事がある。半分納得し、そして悔しかった。
日本の生産者は、いい原乳を使っているのは確かだが、技術が整っていないように思える。おそらく、工場の作り方で作っているからだろう。惜しい。

今回の会場で、一つ注目したのが、"東京牛乳"。
東京には、まだ酪農家が残っていて、協同乳業がこれを集めて飲料乳を作っている。筆者もヨーグルトを作るとき、この牛乳を使っている。地元産だから。
これでチーズが作れたらいいなと思っている。
着ぐるみを着ていたお兄さん

もし、このブログを見ている方の中で、チーズを作りたいと考えている方がいらっしゃったら、いつでも連絡をください。