2016年1月11日月曜日

生酛チーズ

あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

チーズのお供え

昨年の目標は、とにかく生乳の一年のサイクルを確認し、ドーメ、その他のチーズの完成と、新しいチーズを生み出すこと、だった。
なんとか、一年のサイクルを確認し、新しいチーズを作ることもできた。
まずまずである。
長かったようで、短かった一年だった。

ドーメは、筆者が初めに目指したような、柔らかいチーズになっている。
エポワスのようではなく、スーマントランやアフィディリスのような感じ。
ほとんど完成に近いのだが、もう少し工夫が必要かもしれない。
現在は、焼酎だけでなく、日本酒で拭いた物も作っている。
比べてみると、微妙に味が違うのも面白い。

その日本酒だが、小澤酒造の「元禄」という、生酛系のお酒を使っている。
このお酒は、元禄時代の製法を取り入れているので、米をあまり磨かない。
だから、ほんのり色づき、味わいも力強い。

左が元禄、右が武州伝説(焼酎)

ところで、「生酛」とは、なんだろう?

日本酒は、乳酸菌の力を借りて、雑菌を抑えながら酵母を増やす方法をとる。
いろいろなやり方があるそうだが、現在の主流は、速醸法で、市販の乳酸菌を使う。
しかし、生酛は、昔ながらの方法で、自然の乳酸菌の力を借りて、酵母を増やす。
その自然の乳酸菌を作るのに手間と時間がかかる上に、職人の腕も必要となる。

筆者は、もともと日本酒が大好きで、ショップにいた頃は、お酒のこともよく知らずに、チーズと日本酒を合わせて遊んでいた。昨年の暮れに、やっと日本酒の利き酒講座に出席する機会があって、お酒の知識を少しばかり手に入れた。また、生酛を作っている方とお話をする機会もあって、乳酸菌を作る苦労話も聞いた。

そこで、はたと気がついた。
発酵食品は、お酒もチーズも同じ。
うちのチーズは、乳酸菌を手作りしているから、まるで生酛ですな。
去年の最大の発見は、「うちのチーズは、生酛チーズ」だということかもしれない。

元禄も生酛。
うちのチーズも生酛。
だから、元禄で拭いたチーズは、まろやかになり、少し甘いのだろう。

現在のドーメ。やわやわトロトロ!

今年は、日本酒とチーズの会も考え中。
昔、遊んだことが生きてきそうである。
面白くなってきたぞ!と浮かれているのが困ったものである。

しかし、お酒とチーズの相性は、もう少し後で語ることにしよう。

今回のブログ後半は、16日から始まるチーズ塾について、少し説明(少し宣伝)。
全13回で、1月〜6月の期間。
長丁場になるが、チーズ製造を知りたい人には、良いですぞ!

第一回 「乳成分総論と水」 
     2016年1月16日(土)13:30〜17:00
    
第二回 「タンパク質とミネラル」
     2016年1月23日(土)13:30〜17:00
    
第三回 「乳脂肪と乳糖」      
     2016年2月6日(土)13:30〜17:00
    
第四回 「乳酸菌」
     2016年2月20日(土)13:30〜17:00
    
第五回 「凝乳酵素」     
     2016年2月27日(土)13:30〜17:00

第六回 「チーズ製造総論」     
     2016年3月12日(土)13:30〜17:00

第七回 「製造各論:ラクティック・ドミノン」     
     2016年3月19日(土)13:30〜17:00

第八回 「製造各論:ミックス」     
     2016年4月2日(土)13:30〜17:00

第九回 「製造各論:非加熱圧搾(PPNC)」     
     2016年5月14日(土)13:30〜17:00

第十回 「製造各論:加熱圧搾(PPC)」     
     2016年5月28日(土)13:30〜17:00

第十一回 「熟成」     
     2016年6月11日(土)13:30〜17:00

第十二回 「チーズの欠陥」     
     2016年6月18日(土)13:30〜17:00

第十三回 「チーズと疾病」     
     2016年6月25日(土)13:00〜17:00

3月20日(日)、21日(月)でラクティック・ドミノンの製造実習を行う予定。

かなり詳しい製造講座になりそうである。
なるべく月に2回くらいにしようと思ったが、2月が3回になってしまったな。

13回全部と実習をまとめて申し込むと15万円、単発だと一回¥12,000である。
(実習は、3日分で¥37,800)
まだ二人くらいなら入れるので、興味のある方はどうぞ。

現在テキスト執筆中だが、チーズの世界が面白くてワクワクする。
チーズの不思議な世界へ、いざゆかん!