2024年3月9日土曜日

ミクロフィルターの新鮮な牛乳(Le lait microfiltré)

2023年は、1回もブログが書けなかった。2024年もすでに3月。書きたいことはいっぱいあるので、なんとか続けていこうと思っている。大丈夫かしらん・・・

毎年、6月いっぱいまで、チーズ塾をしている。2023年は、残念ながら、ブログを書く時間が取れなかった。9月あたりからまた忙しくなったりするので、また書く時間がない(コンテストとか、催事とか・・・)。そんなこんなで、製造より、よもやま話が多くなってきている。

今回の話は、チーズ塾の「新しい技術」で取り上げた、フィルトラシオンのうちの、La microfiltrationである。

La filtrationは、いくつか種類があるのだが、そのうちの一つが、このLa microfiltrationである。チーズに使うのは、L'ultrafiltrationだが、どう違うのかというと、管に開けた穴の大きさである。L'ultrafiltrationは、0,1〜0,001mμの間だが、La microfiltration は、1〜0,1mμである。穴が大きいのである。

穴が大きいとどうなるか。

乳成分には、タンパク質、脂肪、乳糖、その他、ミネラルやビタミンなどがある。La microfiltration では、脂肪球、コロイド状タンパク質(カゼインですな)、微生物などの分子の大きいものと、水分に溶けている物質を分離することができる。

ミクロフィルターのおいしい牛乳を作るには、まず、生乳からクリームを取り除く。クリームは、熱殺菌しておく。クリームを取った脱脂乳をミクロフィルターにかけて、望ましくない微生物を取り除く。大腸菌などの微生物は大きいので、ここで取り除くことができるのである。

そして、この綺麗になった生乳を、殺菌したクリームと混ぜ合わせて、おいしい牛乳の出来上がり。賞味期限は、15日だそうだ。


             
      https://www.papillesetpupilles.fr/2012/05/lait-micro-filtre.html/

これは、Auchanという、スーパーのオリジナルブランドのようである。筆者がフランス在住だった時とは、だいぶ様相が違うようである・・・

筆者は、この類の牛乳をフランスで買っていた。要冷蔵で、やや高めだが、いい味でしたな。フランス人は、ほとんど牛乳を飲まない。朝食時に、シリアルにかけたり、ショコラ(ココアですね)やコーヒーに入れたりはするが、そのまま飲むことは少ない。そして、その牛乳は、ロングライフで、しかも半脱脂乳。そのまま飲むと美味しくないのだが、こういう使い方なら、そこそこの味である。

筆者は、ロングライフの牛乳は好きではないので、この牛乳を買っていたのである。

この牛乳の大きな特徴は、熱処理をしていないこと。え?、クリームは熱殺菌しているじゃないか、と思われる方もいると思うが、ちょっと違うのである。生乳全体に熱をかけて殺菌すると、水溶性タンパク質が変性する。低温殺菌の63℃ 30分でも変質はしている。超高温殺菌(120℃ 2秒など)では、水溶性タンパク質は、完全に変質して、粘度を増す。だから、粘っこい口当たりになる。

また、匂いも変わる。所謂「コゲ臭」というやつがこれだ。今では、口当たりやコゲ臭を取り除く技術があるそうで、以前よりは気にならないのだが、やはり超高温殺菌牛乳は美味しいとは言えない。←個人的な意見である。

生乳を飲んだことのある人は、少ないと思う。しかし、これは美味しい。さっぱりしていて、匂いも強くない。筆者は、チーズを作るときに運ばれてくる生乳は、必ず味見をする。今日は、脂肪分が高そうだ、とか、美味しい!とか、今日は、あんまり美味しくないな、などと思いながら。

基本的に、生乳の中には大腸菌もいる。衛生状態によっては、変な微生物もいる。しかし、フランスでは、無殺菌乳を自然食品の店で販売している。

フランスの牛乳は、瓶の蓋の色で見分けることができるのだよ。要冷蔵の牛乳のみだが。

まず、赤。これは、全乳。

     https://www.papillesetpupilles.fr/2012/05/lait-micro-filtre.html/


青は、半脱脂乳。

https://www.papillesetpupilles.fr/2012/05/lait-micro-filtre.html/


そして、黄色が無殺菌乳なのである。

 https://www.carrefour.fr/p/lait-cru-ferme-des-noes-rabache-3351795163041

ミクロフィルターのおいしい牛乳」の瓶の蓋は、赤でしたな。

日本で超高温殺菌乳が主流なのは、時間短縮のためと聞いたことがある。63℃ 30分なんて、悠長なことをせず、短い時間で有効な殺菌をする、ということなのだろう。今流行りの「タイパ」ですな。しかし、味は全く違う。牛乳嫌いの大人も子供も、匂いと味が嫌いだという。低温殺菌の牛乳と超高温殺菌の牛乳を飲み比べる機会でもあれば、その味の差もわかるし、牛乳好きも増えると思うのだが。

どこか大手の牛乳メーカーが、ミクロフィルターのおいしい牛乳を作ってくれないかな。筆者は、買いますぞ!