2年と半月経った。
こんなマニアックなブログを、たくさんの方が見てくれて、本当に嬉しい。
ヨタヨタしながら、なんとか続けてこられたのは、みなさんのおかげだと思っている。
Merci beaucoup !!!
今年は、ほとんど記事の書けない状態が続いている。
サボったわけではなく(言い訳?)、工房を開設してから、超多忙になり、なかなか手がつけられない。
書きたいことは、たくさんあるが、下調べに時間がかかって公開が遅れがちである。
10月になれば、一山片付くので、もう少し書けそうだ。
そして、10月は、工房を始動してから一年になる。
感無量。
日頃の感謝を込めて、10月18日(日)に工房で記念パーティーを行う予定。
Facebook Pageで公開しているので、興味のある方はどうぞ。
さて、本題。
ひょんなことから、東京ワイナリーさんと知り合いになって、彼女が作ったワインの葡萄の搾りかすを分けてもらうことになった。
その搾りかすに、チーズを漬けてみることにして、ただいま試作中なのだ。
うちのドーメタイプを一週間ブルーベリーワインの搾りかすにつけたところ。 少し紫になっている。 |
こちらは、山葡萄の搾りかすにつけたところ。 同様に、一週間だが、やや色が薄い。 |
搾りかす漬けチーズがあることは知っていたし、ある程度の情報はあったが、どんなチーズかな?と調べてみたら、面白かったので、ブログに載せてみることにした。
イタリアのチーズに、ウブリアーコ(Ubriaco)というのがある。
酔っ払いチーズと言っている人もいる。
ちなみに、フランス語だと、Formaggio Ubriacoは Fromage ivre となる。
「ivre」は、「酔っ払い」である。
ウブリアーコ(Ubriaco) (http://saporiericette.blogosfere.it/post/509660/il-formaggio-ubriaco-del-piave-come-si-fa-e-origine) |
ヴェネト州の産物の資料によると、結構種類があるので、紹介しよう。
- ウブリアーコ アル アマローネ(Ubriaco all'Amarone)
- ウブリアーコ アル プロセッコ(Ubriaco al Prosecco)
- ウブリアーコ "ブリロ"(Ubriaco "Brillo")
- ウブリアーコ "ブリスコラ アル バルベーラ"(Ubriaco "Briscola al Barbera")
- ウブリアーコ ロッソ トレヴィジアーノ(Ubriaco Rosso Trevigiano)
筆者はイタリア語は読めないので、発音は違うかもしれない。
✮ ウブリアーコ アル アマローネ
ヴァルポリッチェッラのアマローネのマール(ワインの搾りかす)に漬けたもの。
モンテ ヴェロネーゼ(DOPチーズ)を漬けることもある。
風味は強く、チーズ特有の匂いがあり、ピリッとした味がすることもある。
牛乳製、脱脂しているので 40% MG、無殺菌乳、殺菌乳製がある。
5〜9 Kg。
日本では、わりと手に入るチーズ。
筆者が知っているのは、真ん中に紫色の線が入っていて、ウブリアーコ・クラシコ
と区別していた。
香りも味も良く、美味しいチーズだったが、値段が高いのが難点!
UBRIACO® D'AMORE - FORMAGGIO AFFINATO AL VINO AMARONE DOCG ウブリアーコ アル アマローネ (http://www.lacasearia.com/it/prodotti/i-formaggi-di-cantina) |
プロセッコのマールに漬けたもの。
味は、他のウブリアーコより繊細でやさしい。
牛乳製、40% MG、殺菌乳、無殺菌乳製あり。
3〜5 Kg。
プロセッコは白葡萄なので、チーズの表皮は黄色っぽい。
これも、日本で手に入りやすい。
説明の通り、繊細で優しいチーズ。
ワインのプロセッコとの相性が抜群!
UBRIACOSECCO- FORMAGGIO AFFINATO AL VINO PROSECCO DOCG ウブリアーコ アル プロセッコ (http://www.lacasearia.com/pages/prodotti/i-formaggi-di-cantina) |
チーズをワインで洗ったもの。
マールに漬けたものではない。
フレッシュで食べるためのもの。
全乳、殺菌乳、無殺菌乳製あり。
500g。
このチーズは、扱ったことがないので、よく知らないが、写真を見ると綺麗な紫色だ。
Ubriacato Brillo rosso ウブリアーコ ブリロ (http://www.guffantiformaggi.com/formaggi/ubriaco-brillo-bianco-e-rosso/) |
バルベーラのマールに漬けたもの。
ヤギ乳製と牛乳製があり、味が強い。
ヤギ乳、または牛乳の全乳製で、殺菌乳、無殺菌乳製がある。
800 g。
チーズの説明を見ると、牛乳と山羊乳の混乳のようである。
Ubriaco "Briscola al Barbera" Latte misto vaccino-caprino e mosto di Barbera per un sapore più intenso. ウブリアーコ "ブリスコラ アル バルベーラ" (http://www.salumeriatorio.it/paginehtm/formaggi/formaggi.htm) |
✮ ウブリアーコ ロッソ トラヴィジアーノ
一番有名なウブリアーコ。
メルローのマールに漬けたもので、独特の味がある。
チーズプラトーには欠かせないチーズである。
牛乳製、脱脂して 40% MG、殺菌乳、無殺菌乳製がある。
5〜9 Kg。
こういう色のついたチーズをプラトーに入れると綺麗だ。
ウブリアーコ ロッソ (http://www.guffantiformaggi.com/formaggi/ubriaco-rosso-trevigiano/) |
(http://www.italienpasta.com/VENETO%20-%20VENETIE%20FROMAGES.php より抜粋)
筆者が販売していたのは、このうちアマローネ、プロセッコ、クラシコ(メルローとラボーゾのマールに漬けたもの。ロッソに当たるのか?)だったが、他にもいろいろあるものですな。
これらのチーズの誕生伝説として有名なのが、第一次世界大戦中に、オーストリアの兵士たちにチーズを取られないように、生ゴミだった葡萄の搾りかすの中にチーズを隠したという話である。
後に、よい味になることを発見した人々は、戦争後に新しいチーズとして作り出したと言うのだ。
(イタリアのチーズは、戦争中に独自の発達をしたものがいくつかあるのが面白い。)
赤ブドウに漬けると、綺麗な紫色に、白ブドウにつけると少し黄色がかった表皮になる。
一方、フランスにも同じようにマールに漬けたチーズがある。
フロマージュ・オ・マール・ドゥ・レザン(Fromage au marc de raisin)、あるいは、トム・オ・マール(Tomme au marc)がそれだ。
フロマージュ・オ・マール・ドゥ・レザン(Fromage au marc de raisin) (http://www.produits-laitiers.com/produit-laitier/fromage-au-marc-de-raisin) |
フロマージュ・オ・マール・ドゥ・レザンは、サン・マルスラン(Saint Marcellin)タイプをワインの搾りかすにつけたものだが、表皮は軽く色づくくらい。
トム・オ・マールは、PPNC(非加熱圧搾タイプ)をマールに漬けたものである。
トム・オ・マール(Tomme au marc) (http://www.produits-laitiers.com/produit-laitier/tomme-au-marc-et-tommette) |
二種類とも、マールをチーズにまぶしている。
ウブリアーコの表皮が綺麗に染まっているのと少し違う感じである。
筆者が目指しているのは、大きさが Saint Félicien(サン・フェリシアン)くらいで、表皮が紫色になったもの。
ウブリアーコは、ラボーゾやメルロー、アマローネなどの搾りかすに漬けたものだから、色が濃くなるのだろうか?
フランスのフロマージュ・オ・マール・ドゥ・レザンは、漬け込む時間が1ヶ月ほどのようだが、イタリアのウブリアーコは7ヶ月という話である。
チーズの種類が違うので、漬け込む時間も違うのだろう。
7ヶ月もラクティック・ドミノンタイプのチーズを漬けたら、ブヨブヨになっちゃいそうだな。
現在、約一週間が経過。
まだまだ白く、紫に染まっていない。
やや表面が柔らかくなっているようなので、このタイプは、やはり一ヶ月くらいが限度と踏んでいる。
ちょうど、一周年記念パーティーの頃、食べごろかな。
ということで、よほどの失敗がない限り、パーティーに出すつもりだ。
数があまりないのだが・・・