いろいろあって、なかなかブログも更新できないのが悩みの種だ。
書きたいことは、いっぱいあるのだが、如何せん、時間と乗り気(こちらが重要だ)がないのが、なかなか更新しない理由である。
さて、チーズ塾では、「新しい技術」と言って、ウルトラフィルトラシオン(Ultrafiltration)とルコンスティテュエ(Reconsutitué)の講習をするのだが、Reconstituéに関して言えば、日本の食料販売に関して、問題があるのではないかと思って、ここでいろいろ書くことにする。
Reconstituéとは、アナログ・チーズのことである。
フランス語でアナログというと、「類似品」なのだ。
その名の通り、チーズのようで、チーズではない商品のことである。
先日、某スーパーで昼飯として惣菜を購入した。
パッケージに記載してあったのは、「チーズと大葉の鶏竜田揚げ」。
チーズも大葉も竜田揚げも好きなので、昼飯として購入した。
結果は、「なんじゃこりゃ!」←松田優作風に!
一口食べると、マーガリンの味がする。
筆者は、マーガリンが大嫌いなので、すぐにわかる。
また、チーズの味はしない。油っぽいだけ。
本物のチーズを使っていれば、問題ないはずだ。しかし、チーズ好きの人間にとって、「チーズとなんとか」と書いてあって、チーズの味がしなければ、詐欺である。
実際、この商品の原材料の表示には、「チーズ」のチの字もない。
チーズの文字が小さいのは、なんで? |
他にもある。
以前、同じスーパーで、ピッツァを購入した。家族が食べたいというので。
確か、「クワトロフォルマッジのピザ」と書いてあったような気がする。
同様に、原材料にチーズの文字はない。不味い。家族もがっかりしていた。
このチーズもどきは、先ほど言った、「アナログチーズ」というやつである。
日本では、以前、「第三のチーズ」とか、「植物性油脂のチーズ」などと言っていた。
流石に、これはチーズではないので、現在は、「チーズ」という文字はパッケージにない。
その代わり、シュレッドチーズのようなパッケージで、「とろけるミックス」などと書いてある。以下のURLが「アナログチーズ」のサイト。
https://www.marinfood-onlineshop.com/SHOP/116118/list.html
そのパッケージの裏側の、原材料のところを見てみたまえ。
ナチュラルチーズの他に、いろいろ書いてある。なぜなら、この「チーズもどき」だけでは不味いので、本物のチーズも混ぜるからである。
本当のシュレッドチーズなら、「ナチュラルチーズ、セルロース」くらいの表示しかない。
では、この「チーズもどき」とは何か。
説明しようではないか。
筆者が。フランスの乳製品専門学校にいた時、工場製のチーズを作る講座にいたことがある。その時は、プロセスチーズの作り方や、モッツァレッラ(工場製のヤツね)などを勉強したのだが、その中に、「アナログチーズ」の作り方もあった。
アナログチーズは、フランスでもよく使われているらしい。
「アナログのピッツァチーズ」もあるから。
左上:本物のチーズ 右上:偽物50%、本物50% 下:偽物100% |
一体どのようなものかというと、ざっくりいえば、脱脂粉乳に植物性油脂とデンプンを混ぜて、もう一度「乳もどき」を作り、それで「チーズもどき」を作るのである。
乳組成は、タンパク質、脂肪、糖分であるから、とりあえずそれらしいものは入っている。
ただ、脱脂粉乳にすると、カゼインは元の姿ではないので、加工しなければならない。また、脂肪分は、クリームとして取り出し、バターになっている。フランスでは、余剰な生乳を脱脂粉乳とバターで保存するのだが、バターは無くなっても脱脂粉乳が残るのである。
脱脂粉乳だけでは、「乳もどき」にはならない。バターにした脂肪分は値段が高い。
そこで注目したのが、「パーム油」。他にもいろいろな植物性油脂が使われているらしい。
そして、乳成分中で一番多い「糖分」は、澱粉で補う。
そのほか、味を補うため、化学調味料も入れる。
この「チーズもどき」の宣伝になるような話だが、検査をすると、原材料は自然のものであるという科学者もいる。しかし、自然の材料を使っていても、チーズではないのに、「チーズ」と表記することが問題なのである。
このチーズもどき、単体では不味い。
だから、本物のチーズと混ぜて使うのだ。
フランスの動画で、市販のピッツァを調べると、「4種類のチーズ」と書いてあっても、「3種類のチーズとチーズもどき」ということをバラしているものがある。
日本では、まだチーズが苦手な人もいるので、チーズらしくない「もどき」を好む人もいると思う。それはそれでいい。しかし、チーズを使っていないのに、商品名に「チーズとなんとか」とか、「4種類のチーズのピッツァ」と書くのは、詐欺である。
詳しいことは、講座に譲るとして、皆さんも「チーズとなんとか」と書いてある惣菜を見たら、裏の原材料を見て確認した方がいい。そんな惣菜に当たったら、チーズ好きなら、確実にがっかりするだろうから。
フランスでは、余剰の脱脂粉乳を使う手段として、こういう技術を使うようになったらしいが、開発したのはアメリカである。筆者は、自然が一番だと思っているので、このような、あまりにも経済観念だけが一人歩きするのは好きじゃない。こういうものがあっても構わないが、本物のチーズであるかのように誤魔化すのが嫌なのだ。
この「チーズもどき」は、値段が安い。確か、本物のモッツァレッラが15€/Kgなのに、この「チーズもどき」は、40セント/Kgなのである!
おそらく、日本でも、いろいろなところで使われているだろう。原材料を表示しなくていい商品なら、絶対に使っている。例えば、飲食店など。
https://www.francetvinfo.fr/economie/commerce/video-comment-reconnaitre-le-vrai-fromage-du-faux-fromage-analogue-ou-fromage-artificiel_947249.html
日本人は、食べ物にお金を使わないという話も聞いたことがあるが、そうとも思えない節がある。ちゃんとした食べ物を知らないだけなのかもしれないと思うのだ。
ファストフードが台頭した後に生まれた子供たちは、それが普通だと思う。
筆者のように、まだ冷蔵庫の普及が少なく、毎日ご飯を作る食材を買いに行っていた時代に子供だった人なら、わかるだろう。
ただ、悲しいことに、筆者の親世代は、便利なものがいいと思っているので、カップ麺などが大好きである。しかし、あれは健康には良くない。特にお年寄りには。塩分量が多いので、腎臓が悪くなったりするからだ。
食べ物は、大事である。
そして、表示はきちんとしないとね。
今回は、なんだか食べ物全体のことになってしまったようだが、チーズだけでなく、「食べ物」を考えようと思っている。
なかなか続きの製造総論が書けないのだが、ちょっと寄り道が多くなるかもしれない。
総論も面白いんだけど、能書きだからなー
とりあえず、今回はここまで。
次回は、いつになることやら・・・
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