2014年7月23日水曜日

チーズを作る:プスドモナス(le pseudomonas:シュードモナス)

プスドモナス(英語では、シュードモナスと言っているようだ)は、ちょっと困った微生物である。Pseudomonas fluorescensは毒性がないが、チーズの欠陥を招く微生物だ。
どんな風になるかと言うと、

  • 熟成中に、チーズ表皮をピンクや茶色に変色させ、最終的に黄色のシミを作る。
  • 苦みを作る。
  • 水っぽく、ベトベトした表皮になる。
である。

少し解りにくいが、黄色みを帯びている。これは、牛乳のラクティック・ドミノン製法のチーズ。
だいたい、熟成8〜10日くらいで発現するが、始めは、蛍光色のシミ、次に鮮やかな黄色になり、最終的には、濃いオレンジ色のシミになる。

筆者は山羊のラクティック・ドミノンのチーズを作っていたが、あまり見た事がない。
超ピンクのシミを見た事はある。
あれも、プスドモナスだったのかもしれない。
取り除いたら、なくなってしまったので、解らないが。

このプスドモナスという微生物は、プシクロトロフ(psychrotrophe:耐冷性の)であり、原乳の保存温度が低くても繁殖する。
普通、原乳保存をする時は、4℃が多いのだが、これで増えてしまう。
他の微生物の繁殖が抑えられるので、この微生物が増えてしまうのだ。

原乳のタンク。こういうタンクにためているところがおおい。

筆者のいた農家は、原乳保存温度は、12℃だった。
この温度だと、ほとんど増えない。

コンテなどは、CDCで、原乳の保存温度を10℃から18℃と決めている。
この微生物を繁殖させないためである。
すぐに悪さをしないで、熟成中にするというところがイヤラシい微生物だ。
割と、色々なところにいるようで、水、搾乳道具や、原乳そのものも汚染されてしまう。

面白い事に、天敵みたいな微生物がいる。
ジェオトリクム(le geotrichum)である。
ジェオがうまく繁殖すれば、この微生物の繁殖を抑える事ができるのだ。
チーズ表面のpH管理がうまくいけば、酵母の後にはジェオが生えてくる。

型出しをしてから、2〜3日後には、うっすらジェオが生えてくるのが普通だから、こうなれば、心配ない。
筆者の見た資料では、ジェオトリクムを植え付ける事もすすめていた。
ただし、ジェオも水分がありすぎると、「Peau de crapaud」、いわゆる「ガマ肌」になってしまうから、難しい。

筆者は今のところ、買ってきた低温殺菌牛乳を使って試作しているが、なかなか難しい。
特に、夏は気温が上がるので、流通温度がどうなっているのか解らないうえに、家の温度管理も大変だ。
エアコンをつけると、人間が寒すぎたりして。

9月工房開業を目指していたが、諸事情で、10月始めからになりそうである。

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