2014年4月15日火曜日

チーズアレルギー

筆者は、医者ではないが、医療家のハシクレなので、病気や菌に興味がある。
今回、チーズのアレルギーについて書こうと思ったのは、2012年12月20日に起こった、調布市立富士見台小学校での事故が、気になったからである。

5年生の女の子が、粉チーズ入りのチヂミを食べて、アナフィラキシーショックを起こしてなくなったという記事である。
その子は、乳製品のアレルギーである事が解っていて、粉チーズの入っていない給食を食べた後に、チーズ入りをおかわりしている。
その結果、アナフィラキシーショックを起こしたというわけだ。

詳細は、調布市の報告書があるので、そのURLを貼っておく。
http://www.city.chofu.tokyo.jp/www/contents/1363069358235/files/kensyou.pdf

乳製品のアレルギーは、乳糖に対するものと、乳蛋白に対するものと、2つある。

乳糖に対するものは、牛乳を飲むとおなかをこわしたりする事で、「乳糖不耐性症」と呼ばれ、東洋人に多いとされている。
しかし、「チーズと文明」の作者である、ポール・キンステッド氏によると、人間は長い間をかけて、牛乳が飲めるようになったそうである。
だから、乳文化の長い歴史を持つ、ヨーロッパ人に乳糖不耐性症が少ないのも理解できる。

インドはともかく、中国や日本、韓国ではあまり乳利用をしてこなかった。
特に日本では、明治の頃、牛乳を飲むと角が生えるという噂もあったそうだから、乳糖に対する耐性が出来なかったのも、仕方ないか。
しかし、このアレルギーは、乳糖を除去した牛乳なら問題ない。
市販もされている。

問題は、乳蛋白に対するアレルギーである。
先ほどの事件も、乳蛋白に対するアレルギーだと思われる。
乳には、大まかに分けて、3つの蛋白質が存在する。

  • カゼイン(la caséine)
  • α−ラクトアルブミン(l'alpha lactalbumine)
  • β−ラクトブロブリン(la β lactoglobuline)

カゼインは、乳中にカゼインミセルの形で、α−ラクトアルブミンとβ−ラクトブロブリンは、乳清蛋白といい、乳清中に存在する。
カゼインは、乳蛋白中78〜80%を占め、ほとんどがチーズ中に移動する。
乳清蛋白は、乳清とともに流れ出て、ほとんどチーズ中には残らない。(フレッシュチーズを除く)

アレルギーは、このどれかに対して起こるようで、3つ全部に対しては起こらないというフランスの文献を読んだ事がある。
だから、パリの友人のご亭主が、牛乳アレルギーだが山羊チーズなら大丈夫と言って、ぱくぱく食べていたのに、何の不思議も抱かなかった。
友人は日本人だが、ご亭主はフランス人だったから、多分、自分が何のアレルギーなのかをよく知っていたと思われるが、一歩間違えると怖い事だなと思う。

というのは、「LES PRODUITS LAITIERS」という、フランスのサイトで、このような記事を見つけたからだ。
2010年に、フランスの小児科医の協会によって出版されたとあるが、
「乳アレルギーは、90%が6歳以下で自然に治癒する。
しかし、山羊乳、羊乳、豆乳などを代わりに与えると、それらに対するアレルギーのリスクが大きくなるので、与えてはいけない。
大人の乳製品アレルギーは、特異なものである。」

この記事から考えると、牛乳アレルギーだけど、山羊はいいとは言えない。
また、大人のアレルギーの危険性が高いのは、アレルギー全般にいえる事で、例えば、大人になってから喘息になると、重篤である。

アレルギーでの事故があると騒がれるが、当事者以外の人も、もっと関心を持ってほしいものである。
特に、乳製品販売の人たちは、アレルギーに対して、ある程度の知識が必要だと思う。
試食を出しているなら、なおさらだ。

おいしそうなチーズがいっぱい。これが食べられなくなったら・・・地獄だ!

怖がる必要はないが、食べ物アレルギーだと解ったら、今のところ、注意するしかないのだろう。
アレルギーで検索していると、食べてはいけないものを除いたはずなのに、気分が悪くなったという記事を見かける。
成分表示など、きちんとしてほしいものである。

0 件のコメント:

コメントを投稿