2014年4月25日金曜日

チーズと病原菌:エシェリシア・コリ(Escherichia coli O157:H7)

フランスでは、チーズを作る原乳に発見されてはいけない微生物は、2種類。
前回お話しした、リステリア・モノシトジェンヌとサルモネラ菌である。
しかし、昨今、O157による、チーズの汚染が問題となっているのだ。

Escherichia coli O157:H7(腸管出血性大腸菌:以下E.coli)は、動物の糞便中に見られ、それに汚染された水や食物を介して感染する。
筆者がフランスに滞在中も、カマンベールで1回、ステック・アシェという、牛ひき肉だけで作ったハンバーグの中毒が1回出ている。
もちろん、すべて回収。
出した工場、あるいは工房は、一定期間製造中止になる。

いろいろなPM。無殺菌乳だと、リスクが大きい。

E.coliが怖いのは、100個ほどでも症状が出ること。
(普通の菌なら、100万個以上ないと、症状は出にくい。)
そして、溶血性尿毒症症候群と脳症を起こす事である。
また、感染してもほとんど症状が出ず、治ってしまう事がある。
その場合でも、1〜2週間は菌が排出されるため、感染源になる事があるのだ。

ほとんどの食品の販売員は、月に一回、検便をしているはずである。
チーズの販売員も例外ではない。
筆者は、その検便で1回、サルモネラで引っかかった事がある。
本人に自覚症状は全くなし。

後で聞いた話だが、サルモネラは保菌者になる事があるそうで、完全に菌がなくなるまで、仕事はできないのだ。筆者は、すごく強い薬を飲まなければならなかった。
その時にきた書類を見たら、O157も検査対象になっていた。

E.coliは、動物の糞便中に見られる。
大腸菌なのだから、当然だ。
チーズへの感染経路を考えると、リステリアと同じく、水か人間になる。
しかし、リステリアと違うのは、動物の糞便にいるという事で、これは、無殺菌乳に、入ることがある。だから、その分、リスクが高い。
E.coliは、加熱に弱いので、殺菌乳のチーズなら、リスクが低いが。

フランスの文献を読んでいると、リステリアとE.coliは、かなり出ている。
昨年の3月には、AOPの山羊チーズ、セル・シュル・シェールの農家製にE.coliが検出されたようだし、今年の2月には、「Carrefour:カルフール」マークのロックフォールにE.coliが出て、注意を呼びかけている。
また、今年の3月に農家製のマンステールからリステリアが検出されている。

面白い事に、ラクティックの山羊チーズには、リステリア菌は、ほぼ検出されない。
前々回に書いたように、pHが低いからである。
しかし、O157には、汚染されてしまうのだ。

山羊チーズいろいろ。大好きである。

フランスのDGALLa Direction Générale de l'Alimentation)、大まかにいうと、フランスの農業省にある機関で、農産物などの品質管理や検査を行う所だが、2014年の年間の計画で、無殺菌乳のチーズに対して、E.coliの監視を行うようである。
近年、汚染件数が増えているからだろう。
鶏肉などに対するサルモネラ菌も同時に行う様子だ。

21日に、埼玉県で、O157患者が出ている。

保育園で4人だそうだ。
重傷者はいないようだが、感染経路はどうなっているのだろう?

怖い事ばかりかいてしまったが、怖がる事はない。

日本のチーズは、殺菌乳製だし、ちゃんと正規の輸入をしたチーズは、税関で検査をしているはずだから。
もし、検出されたら、国内には入れず、全部廃棄だ。
正規輸入でない、並行輸入のチーズなんかなら、ちと怖いかもしれないが。

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