2014年6月6日金曜日

フランスと日本のチーズ屋さん

日本とフランスのチーズ屋さんの違いは、何と言っても商品の回転率が違うという事だろう。フランスのスーパーで、土曜日の夕方には、チーズ売り場の棚がスカスカになっていたのをよく見た。
早くいかないと、お目当てのチーズがなくなってたりする。
レジに並んでいる人たちも、カゴにチーズを入れている人が多かった。

スーパーマーケットの天井に、ビドンが飾ってあった。「Le Fromager」の文字も見える。

スーパーマーケットの売り場。オープンケースである。

日本は、と言うと、やはり、売るのに苦労する。
販売員さんは、大変だ。
種類、食べ方、余ったときの料理法、etc・・・
何でも知っていないと、買ってくれない。

パリのチーズ屋さんで働いていた時に、日本のお客さんと違うな〜と思った事は、まず、チーズの指名買いが多いこと。
次に、いつ食べたいから(例えば、今度の週末、とか)、その時に食べごろを買いたい、などの要求が多いこと。

「いつ食べたい」という要求は、日本で経験がなく、始めはよくわからなくて困った。
でも、他の店員さんたちに聞いて、カマンベールなどは、指で押して確認してから販売するようになった。
モンドールもすぐ食べるように処理して、と言われた時、他の人に教わって、出来るようになった。

筆者が注文を受けようとすると拒否する人もいたし(東洋人だから)、筆者からでないと買わない人もいた。
その辺は、日本と同じである。

しかし、一番の違いは、チーズに対する手入れである。

筆者が働いていたところは、夜、閉店後に、店頭にあった全部のチーズを、冷蔵庫にしまう。
そして、朝開店前に、全部取り出して、ディスプレイする。
だから、毎日、ディスプレイが違うのだ。

裸に見えるが、ラップしてある。
左側のウインドーのそばのチーズは、裸のままディスプレイされている。

日本は、オープンケースが多い。
そして、閉店後には、カバーをかけておしまい。
このせいで、チーズが乾燥するのである。
日本のスーパーやオープンケースのチーズ屋さんの場合、回転のいい商品でないと乾燥している事が多い。

PM、カマンベールやウォッシュ系は、ふちが固くなって、美味しくない。
また、ブルサンのようにプラスチックのカップに入っていないクリームチーズは、温度変化に反応して、水分が出たりする。
とにかく、チーズにとって、いい状態に保つ事が難しいのが現状だ。

東京で、冷蔵ケースにチーズを入れて販売しているお店がいくつかある。
とてもいい事だと思う。
例を挙げると、渋谷の東急デパートに入っている、フェルミエ。
立川のチーズ王国本店。
チーズ王国の他のお店は、オープンケースだが、本店は冷蔵ケースに入っているので、状態がいいようである。

そのほかにもあるかもしれないが、筆者は多摩地区在住なので、都心のほどは、よくわからない。
しかし、冷蔵ケースに入っていれば、温度、湿度ともに管理できるので、乾燥や温度のムラをなくす事が出来る。

商品を手に取れる方がいい、という経営者もいるが、スーパーならともかく、専門店は手に取れなくてもいいのではないかと思う。
フランスのチーズ専門店でチーズにさわったら、怒られる。
筆者の同僚も、「Ne toucher pas!」とか、「Don't touch!」とか言ってましたな。
もっとも、フランスは、裸でディスプレイしてあるチーズが多いので、触ったら絶対に怒られるが・・・

市場では、ケースに入っているところもある。

裸でディスプレイして、湿度が低いから乾燥するのでは?と思っていたら、夜に全部しまっていたのである。
日本でこれをするのは大変だ。
小さく切ってあるチーズが多い上に、しまう空間を確保しなければならない。
日本でも、肉屋さんなどは、夜、商品を冷蔵庫に入れているようだから、それと同じ事をする事になる。

フランスでも、肉屋や八百屋など、生鮮食品のお店の人たちは、朝早くからよく働く。チーズ屋も例外ではない。一週間に、35時間労働だけれど(日本は40時間)、それではお店が成り立たないから、闇?で働く事になるのだ。

日本にも、いいチーズがたくさん輸入されているし、国産のチーズも質が良くなっていると聞く。でも、催事などで購入すると、残念なチーズが多い事も事実だ。
「もの」が悪いのではなく、「管理」がよくないからだと筆者は考えている。
もっとチーズが普及して、商品の回転率がよくなれば、今よりおいしいチーズが食べられると期待している。

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