2014年6月3日火曜日

チーズを作る:チーズの添加物

農家製とAOPのチーズを作っていたので、添加物には詳しくない。
しかし、学校で勉強していた時には、チーズ製造時にいくつか添加したものがある。
CaCl2とGDLである。

上は、シャウルスだと思うけど、後は忘れた・・・農家製のチーズ。

CaCl2は塩化カルシウムという。
なぜ加えるかと言うと、低温殺菌した牛乳は、ミセル・ド・カゼインからカルシウムが溶け出してしまうので、それを補うためである。
(なぜ、カルシウムが溶け出すと、補わなければならないのかは、難しくなるので省く。いずれ、何かの形で、カゼインから説明したい。)
PM、カマンベールなど、殺菌乳製のソフトタイプには、必需品である。
チェダー、ゴーダにも使われている。

GDLは、グルコノ・デルタ・ラクトンヌといって、pHを下げる役割をする。
pH調整剤にあたる。
ポリニーのPMは、これを使っていた。
二つとも、製造時の添加物で、日本の法律でも許可されているものである。

そのほか、スペインのチーズなどには、防カビ剤が使われている事がある。
これも、今では日本で許可されているが、15年ほど前は、このせいで、スペインのチーズが輸入できなかった。

チェダーチーズやミモレットに色を付けるためのアナト−色素。
酪酸菌をおさえるために、ミモレットなどに入っている、卵白リゾチーム。
カプリス・デ・デューには、ゼラチン(日本のラベルには書いてないが、フランスの通販などのページには、原材料として書いてある)。
チーズにも、色々な添加物が入っている。

カプリス・デ・デュー。フランスだと、200gと300gがメインだ。

中でも、フレッシュタイプのチーズには、様々な添加物が入っている。

例えば、ブルサン。
ニンニク入りは、ニンニクが防カビ作用をするようで、入っていないが、その他の種類には、ソルビン酸が入っている。
これは、保存料である。

ブルサン・チャイブ。筆者は、ニンニクが苦手なのだ。

ソルビン酸K入り!
食品添加物には、賛否両論があるが、入れなければ保存が難しい。
入っている事を承知で買う覚悟?が必要。

ある種のクリームチーズには、ローカストビーンガムの様な、増粘多糖類が入っている。粘度を増加させるのに使っているようだ。
安定剤も入っている。

フレッシュチーズは日持ちがしないので、長距離を輸出するのなら、保存料は仕方ない。
本当なら、できたてをその日のうちに食べると美味しいのだが、現在の流通を考えると、これも許容範囲なのだろう。
でも、添加物のないクリームチーズの美味しさを知ってほしいと願う。
(日持ちしないが・・・)

そして、一つ、気になる事がある。
クリームチーズの原料に「生乳」とあるのに、表示が「プロセスチーズ」という商品がある事だ。

フィラデルフィアクリームチーズの表記は、原料が「生乳」でチーズは「ナチュラルチーズ」。
キリーのポーションタイプは、原料が「生乳」なのに、チーズは「プロセスチーズ」。
雪印クリームチーズは、原料が「ナチュラルチーズ」で、チーズの表示は「プロセスチーズ」。


フランス直輸入とある。

原材料が「生乳」なのに、「プロセスチーズ」?

フィラデルフィアと雪印に関しては、納得する。
乳等省令の定義に沿っているからである。
でも、キリーのクリームチーズは、なぜ「プロセスチーズ」なんだろう?

推測だが、キリーは、乳化剤を使っている。
乳化剤=プロセス?
か、あるいは、フロマージュブランの様なチーズを、一旦作ってから、クリームチーズを乳化剤を入れて作った?
それにしても、「乳等省令」のプロセスチーズの定義を見ると、なんか変だ。

「原料を加熱溶融して、乳化させて、型に入れて冷やす。」
でも、そう作ると、溶けないのよね。

実は、国産のクリームチーズに似たような表記があって、変だなと思っていた。
何故なら、これを使ってチーズケーキを作ると、実によく溶けて、使いやすかったからだ。
ということは、ナチュラルチーズのような気がする。
雪印のクリームチーズは、チーズケーキを作るときは、裏ごししないとうまくいかなかった。溶けないのである。
ちゃんと、熱をかけて、溶融しているからだろう。

これは、ギモンですな。
もし、キリーのクリームチーズがプロセスチーズなら、原料はナチュラルチーズと書くべきだと思う。
もし、フランスの表示が曖昧なら、きちんと整備しないと、乳等省令の定義にそぐわなくなってしまう。

日本のチーズの定義は、まだ曖昧な所が多いような気がするのは、筆者だけかな?
理屈っぽい正確なので、気になってしまう。
この表示の意味を知っている方がいたら、教えてほしい。

2 件のコメント:

  1. 実に微妙なお話ですね。1995年頃でしたが、EUがプロセスチーズの輸出補助金を大幅に増やしました。それまでナチュラルチーズとして製造していたクリームチーズの工程で、ごくわずかに物性が変わらない程度に乳化剤を入れ、そのままの製法でプロセスと称するようになりました。これにより、輸出補助金も多くなり、価格が安くなりました。ところが、デンマークではナチュラルの物性は切り口がなめらかでない事と定義され、この手が使えなくなりました。フランスはその点おおらかでしたね・・・

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    1. そうだったんですか。輸出補助金のためだったのですね。日本もそれに従っているわけですね・・・理由は野澤さんのおかげで解りましたが、やっぱり変ですね???

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