2014年6月24日火曜日

チーズを作る:Pâte persillée(ブルーチーズ)

フランス語でブルーチーズのことを、パット・ペルシエ(Pâte persillée)という。
Fromage bleu(フロマージュ・ブル)とか、単にBleu(ブル)ともいうが、製造している人間には、Pâte persilléeのほうが通りがいい。

これは、シュロプシャ・ブルー。イギリス産。スティルトンと同じ作り方だが、やや味が穏やか。

Pâte persilléeは、パット・モル(Pâte molle)中のmixの一種である。
ジェックスなんぞは、PPNCと勘違いされる事が多いが、プレスしていないし、カイエの状態から言って、mixである。
ただ、オーヴェルニュのブルーと違い、水分量を少なくする。

ジェックスのカーヴ。うまそ!

筆者は、ブルーを一回しか作った事がない。
しかし、他のチーズとずいぶん違うもんだと思った。

たとえば、カイエを台の上にのせて、もむ作業をする。
変な工程だな、と思っていたが、後で受けた講義で、いわゆる「メカニック・ホール」を作る工程だなと解った。
ペニシリウムは、原乳に混ぜたが、もむ作業の時に混ぜ込んでもいいと聞いた。

また、乳清は、いつものように流してはいけないと言われた。
ペニシリウムを含んだ乳清を流すと、配水管にカビが生えるから、ダメだと。

チーズの製造は結構めんどくさくて、色々なチーズを一つの工房で作るのは、大変だ。
フランスの農家だと、1種類だけ作るとか、作り方は同じで、型や熟成を変えて、ヴァラエティを出しているところが多い。

ブルーは、特に、違うチーズと一緒に作りにくいチーズだ。
ペニシリウム・ロックフォルティ(Pénicillium roqueforti)は、それほどしぶといカビなのだ。
熟成を他のチーズと一緒に出来ないチーズとしては、トム・ド・サヴォアがある。
表面に、ミュコー(Mucor)が生えると、トムにはよくても、他のチーズにはよくないからだ。

チーズ屋さんのストック。ロックフォールパピヨン、カルル、etc・・・

ちなみに、以前は、ジェックスなどにペニシリウム・グロークムという青カビを使っている、という記述があるが、微生物学の先生は、今は、グロークムとはいわないと言っていた。

確かに、ジェックスの見学に行ったとき、質問したら、ロックフォルティ(P.Roqueforti)を使っているという答えだった。
いまだにネットでは、グロークムのチーズを探すと出てくる。
たとえば、ジェックスもそうだし、ゴルゴンゾーラもそうだと記憶している。

乳酸菌なども記述が変わっているので、変わったのだろうと考えている。
乳酸菌で言えば、ビフィズス菌は以前、乳酸菌に分類されていたが、現在は、違う分類になっているはずである。

ブルーの工程の特徴として、「穴あけ」があるが、手でしている、と言っていた農家さんもあった。
学校の先生は、「ロックフォールは、ルコノストック(leuconostoc:乳酸菌の一種)を使っている」と力説していたが、そうだろうな。

ルコノストックは、CO2を作るので、カイエに穴を作る。
山羊チーズのカイエでも、無殺菌乳だと、季節によって、ぼこぼこに穴があく。
大腸菌の場合と違って、嫌な味も臭いもしないのが特徴。
フロマージュ・ブランなどは、風味付けにこの乳酸菌を使うのだ。

日本だと、ブルーが好きな人は、男性に多く、結構マニアックな人が多い。
あまり売れないと思われているのか、作り手も少ない。
ま、作るのも大変だが。

筆者の家族もブルー大好きなので(しかも、ロックフォール!)、買ってこいとよく言われるが、昔と違って、スーパーで手に入るのが嬉しい。

マリー・アンヌ・カンタンのラカイユ。固くしまっていて、コクがある。

大好きな、フルム。

筆者の好きなブルーは、ジェックスとフルムダンベール、パリのマリー・アンヌ・カンタンのラカイユ。
ジェックスもラカイユも日本で手に入りにくいけれど、フランスに行ったら、絶対に食したい。
いつ行けるんだろ・・・

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