2014年1月24日金曜日

AOPのチーズ:牛編 ブルー・ド・ジェックス オー ジュラ

ブルー・ド・ジェックスというチーズがある。
日本では、あまり見かけないが、ジュラ地方の大型のブルーチーズである。
イタリアのゴルゴンゾラも12Kgほどあるから、大型チーズの部類に入るが、フランスのブルーで、6〜9Kgというのは、かなり大きい。

表皮は、白っぽくて、中身は、弾力があって柔らかい。

表皮には「Gex」の文字がある。ブルー・ド・ジェックスであるという証拠。
これは、プラクチックの板をカイエにのせて作る。
圧搾はしないので、重みで自然にGexの文字が、彫り込まれるのだ。
少し見づらいが、カイエの真ん中に、プラスチック製のジェックスの文字が見える。
ブルー・ド・ジェックス。左側に「Gex」の文字が見える。

中身は、細かい青カビが散らばっていて、ロックフォールなどとは少し違う様子である。生地は、少し、もちもちした感じで、弾力がある。
どちらかというと、サンネクテールなどの柔らかいセミハード系に、ブルーが入っている面持ちである。
かっと断面。カビが細かく散らばっている。

原乳は、ジュラ地方の牛、モンベリアルドとシメンタール・フランセーズ。
青カビは、ペニシリウム・グロクムとペニシリウム・ロックフォルティ。
塩分が、0,8%と少ないので(ロックフォールは3%くらい)、食べやすいブルーチーズだ。
ブルー・ド・ジェックスの型に入ったカイエ。

AOC取得は、1977年だが、2007年に名前を少し変更している。
規則によると、現在は、「ブルー・ド・ジェックス オー ジュラ」(Bleu de Gex haut Jura)あるいは「ブルー・ド・セモンセル」(Bleu de Septmoncel)であるが、以前は、「ブルー・ド・ジェックス」、「ブルー・ド・セモンセル」、「ブル・デュ・オー ジュラ」だった。
名前の単純化のためである。

元々は、13世紀にドフィネ地方から移民してきた人々によって、製法がもたらされたらしい。それがサン・クロードの修道院経由で、一般化したようである。
18世紀には、オー ジュラ(haut Jura)で、シャレ・ダルパージュ(Chalet d'alpage)か、フリュイティエール(la fruitière)で作っていたと言われている。
カーヴで熟成中。

ジュラのAOCチーズの中では、生産量が一番少ない。
理由は、工房に行くとよくわかる。
ジュラは、コンテの製造地域が広い。そして、モルビエを一緒に作っているところが多く、季節になるとモンドールも作るところが多い。
しかし、ジェックスは少し様子が違うのだ。一緒に作っているところがあまりない。もちろん、作れる地域も関係してくるのだが。

まず、キューヴの形が完全に違う。コンテとモルビエは同じキューヴを使う事が出来るが、ジェックスは、蒲鉾を引き延ばしたような、ブルーチーズ特有のキューヴを使う。また、ペニシリウムは扱いが難しい。繁殖力が強いので、きちんと処理しないと、他のチーズに青カビが生えてしまう。
筆者が見学した工房は、モルビエとコンテも作っていたが、工房は分かれていた。
ブルー・ド・ジェックスのキューヴ。蒲鉾を逆さにしたみたいな形。
穴をあける針。

ブルー・ド・ジェックスの組合は、知名度を上げたいらしいが、フランスのブルーチーズはロックフォールを代表とする、小型で水気がたっぷりある柔らかいものが主流なので、苦戦しているようだ。また、よいものを見つけるのも難しいようである。筆者の元同居人(フランス人)も、ジェックスは美味しいと思うものがなかなかないと言っていた。2009年の暮れに見学に行った時、組合の女性が、サスナージュと共同でプロモーションをしたいが、うまくいかないと云っていた。現在は、どうなったのだろう?

筆者はジェックスが大好きである。
ロックフォールも好きだが、素朴で塩味も強くないこのチーズは、そのまま、ぱくぱく食べられる。残ったら、ピザやグラタンに乗せて溶かして食べても美味しい。地元ではあまり高くなかったが、日本では手に入れにくいし、高いなあ・・・

0 件のコメント:

コメントを投稿