2014年1月7日火曜日

チーズを作る:原乳編 山羊

2014年、新しい年がやってきました。
今年も、チーズ A to Zをよろしくお願いいたします。

今年は午年だが、筆者の独断と偏見によって、今年最初のテーマは「山羊」である。
昨年は、テーマがバラバラだと感じたので、今年は順序立てて綴っていこうと考えている。そこで、まず始めに、原乳。山羊といこう。

日本にいるのは、ほとんど日本ザーネン種という、スイスサーネンを日本の風土に合うように改良した種である。在来種もいるが、数が少なく、肉用が多いようだ。
そこで、フランスに目を向けてみよう。
ブルゴーニュの農家の山羊。ここは、各地方の希少種もいた。

フランスの山羊の種類は、10種類ほど。
羊や牛は、肉用もいるのだが、山羊はほとんど乳用である。現在は、子ヤギの肉利用、毛皮の利用もされているようだ。
乳利用の種類については、チーズ製造の為に飼っている種と、飲料乳用の種がいる。
ここでは、チーズの原乳をとるための主な山羊をご紹介しよう。

  • アルピンヌ(l'Alpine)
スイス原産の茶色の山羊。アルプスの羊が飼えない荒れた土地で、飼育されていた。現在では、フランスの広い範囲で飼育されている。その乳質の良さから、AOPのチーズの原乳と定められている事も多い。
筆者はフランスで、山羊の牧場で働いていた。二つ目の牧場は、マコネを作っていて、アルピンヌを飼っていた。この山羊は、好奇心が旺盛で、そばに寄ってくる。取り巻かれてあちこちかじられる。初めて山羊の牧場に見学に言ったときは、着ていたコートがヨダレだらけになった。頭、角と角の間(角は子供の頃に抜いてしまうので、角の痕だが)を掻いてやると、嬉しそうな様子である。乳量は、年間700L程度。乳中の蛋白質、脂肪とも高く、良質。現在はサーネンも許可されているAOPのチーズの原乳は、少しずつこの山羊乳にシフトしてきている。
アルピンヌの群れ。大きな角を持っているのがブック(雄山羊)。
ちなみにシェーヴルは雌山羊の事。


  • サーネン(la Saanen)
スイス原産の白い山羊。皆さんもよくご存知の、アルプスの少女ハイジに出てくる山羊である。1910年代にフランスにやってきて、中央部から南西部にかけて広がった。世界中で一番飼育されている種である。
この山羊の特徴は、おとなしくて従順である事。だから世界中に広まったと言える。
また、乳量が多いのも特徴で、年間900〜1000Lである。
乳中の蛋白質、脂肪の量は低め。
この山羊とのおつきあいは、一つ目の山羊牧場。出産ラッシュのときは、子ヤギの世話をしていた。子ヤギは生まれてすぐ親から離してしまい、初乳を飲ませた後に、専用の粉ミルクを与える。これがなかなか難しくて、大変。飲んでくれないからだ。サーネンの子ヤギはかわいいけれど、アルピンヌより死んでしまう事が多かったように思う・・・
サーネンのブック。ブックは、臭いがきつい・・・

サーネンのシェーヴル。まだ若い。


  • ポワトヴィン(la Poitevine)
フランスの中西部原産(Niortあたり)。フランスの山羊チーズのメッカ、ポワトー・シャラント原産である。1925年にはやった熱病で、その数を減らしたが、現在は、数を増やそうという計画が進行し、順調に数を増やしている。
年間500Lの乳量は、少ない。ただ、乳質はよく、フランスのチーズ作りに向いていると云われる。乳利用しかしない山羊だそうである。フランスの西部に多い。写真は、こちらを参照してほしい。
http://fr.wikipedia.org/wiki/Poitevine_(race_caprine)


  • コルス(la Corse)
コルシカ原産。4000年以上前の骨が発見されている、古い土着の種である。
この山羊乳で、コルシカの山羊チーズを作っている。この山羊の写真もこちらを参照してほしい。
http://fr.wikipedia.org/wiki/Corse_(race_caprine)


  • ピレネー(la Pyrénéene)
ピレネー原産だが、いつ頃からいるのか、はっきりしないらしい。
5000年前からと云う説もある。
主に飲料乳用として、飼われていた。羊の群れに混ぜて放牧し、羊飼いの飲料乳を提供していたのである。
この種もポワトヴィンのように、20世紀の中頃にほとんど全滅しかけた。
現在は、数を増やすための計画が進行中。
チーズのトム・ド・ピレネーの原乳となる。
ピレネー。毛足が長いのが特徴。


  • ロヴ(la Rove)
フランス、地中海辺りの原産。三角形の角が特徴である。
この山羊も羊と一緒に移牧され、肉と飲料乳を牧夫に提供していた。
現在は、AOPのチーズ、ペラルドン、ピコドン、バノンの原乳と定められている。
ロヴ。隣のお尻は、アルピンヌ。


ポワトヴィンが多い西部で働いた事がないので、世話をした事はないが、チーズ学校の先生にはこの3種がフランスを代表する山羊だと教わった。
ポワトヴィンのチーズを作ってみたいものだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿