2014年3月4日火曜日

チーズを作る:ミックス(Mixte)

ミックスのチーズの種類は多い。
ソフトタイプで、牛乳なら、ほとんどこのタイプと云っていい。
例えば、日本でよく作っているカマンベールタイプ。これはミックスである。
ソフトタイプで白カビ熟成のもの(Pâtes molles à croûte fleurie)、ウォッシュタイプ(Pâtes molles à croûte lavée)、ブルーチーズ(Pâtes persillées)はミックスがほとんどである。
フランスのチーズ屋さんにて。

例を挙げると、白カビのチーズなら、

  • カマンベール(le camembert)
  • ブリ(le brie)
  • クロミエ(le coulommiers)
が主なものである。ただし、AOPのカマンベール・ド・ノルマンディー(Camembert de Normandie)とブリ・ド・モー(Brie de Meaux)はラクティックに近い。

ウォッシュタイプなら、

  • マンステール(le munster)
  • マロワル(le maroilles)
  • リヴァロ(le livarot)
  • シュヴロタン(le chevrotin)
マンステール ジェロメ・オ・レ・クリュ。マンステール ジェロメというのは、ロレーヌ地方産、単にマンステールという場合は、アルザス産をさす。

マンステール ジェロメを開けたところ。まだ食べていないが、美味しそう。

ブルーなら、

  • ブルードーヴェルニュ(le bleu d'Auvergne)
  • ロックフォール(le roquefort)
  • ブルー・ド・ジェックス(le bleu de Gex)
などがある。
ブルードーヴェルニュ。これは美味しかった。

ラクティックとミックスの違いは、

  • プレジュールを投入するときの原乳のpH(あるいは酸度)、
  • プレジュールの量、
  • カイエの形成時間が長いか短いか、
  • カイエを切断するかしないか。
である。

一般的に、ラクティックはpHを低く設定し、プレジュールの量が少なく、カイエの形成時間が長く(16時間以上が多い)、カイエを切断せずに、ルーシュ(la louche)で型に入れる。

また、ミックスの大きな特徴は、工場製が多いという事である。

ミックスの農家製は少ない。
なぜかと云うと、時間的に無理が出るからである。
ラクティックに農家製が多い理由は、朝絞った原乳にプレジュールを入れて、24時間放っておけばカイエが出来るところにある。
段取りとして、朝原乳を絞る(だいたい6〜7時頃)、前日の乳と合わせる、プレジュールを入れて静置する、その後、前日から作っておいたカイエを型入れする。
これは午前中に終わる仕事量なのだ。
主婦ならその後に家事、男性なら牛や山羊などの世話が出来るというわけである。

ミックスを作るとなると、大変だ。
朝原乳を絞る、マチュラシオン(la maturation)という、乳酸菌発酵の過程が1〜2時間、その後にプレジュールを投入し、カイエになるまで1時間ほど待ち、それから型に入れる。また、反転の頻度がラクティックと違って多い。搾乳時間を早くしなければ、とても終わらないし、待ち時間も多い。
加熱圧搾タイプだともっとかかり、朝の5時から製造を始めて、お昼に終わるかな、と云った時間配分である。

結局、ミックス、非加熱圧搾、圧搾タイプは、チーズを専門に作るほうがよいと云えるのだ。だから、このタイプは工場製が多く、ラクティックは農家製が多いのである。
日本でチーズを作ると、みんなカマンベールとゴーダになってしまう。アトリエで作っているなら、いいのだが、農家でしようとすると大変だ。
いまは、モッツァレラとカチョカヴァロがはやっているかな?
カチョカヴァロはもう下火のようだが。

有名なところで、共働学舎の「さくら」はラクティックである。桜の花が乗っていない「プレジール」と云うのもあるが、これはサン・マルスランのようで、筆者は好きである。農家なら農家の特性を生かしたチーズを作った方がいいような気がする。

ところで筆者の作ったチーズだが、サン・マルスランのように、トロトロになってきた。
一昨日少し食べて、残りをグラタンにかけて焼いてみた。
なかなかいい味だった。(やったね!)
小さいチーズなので、熟成期間がどのくらいだろうと思っていたが、21日でいい加減である。今週末だと、28日になるので、少し柔らかくなりすぎるかもしれない。まだ2個あるので、白ワインと一緒に食べるつもりである。楽しみ、楽しみ。

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