非加熱、というのは、原乳のままの温度という意味にとった方がいい。というのは、非加熱圧搾タイプのキューヴ中の温度は、37〜40℃くらい。
これは、動物の体温、すなわち、絞りたての牛乳の温度とほぼ同じだからである。
熟成士さんのところで見た、トム・フェルミエ |
この種類のチーズは、世界中にある。
特に、チェダーはイギリス圏で盛んに製造されている。
アメリカでは、チェダーもたくさん生産されているし、オリジナルのコルビー、モントレー・ジャックなども、このPPNCタイプである。
やや柔らかく、口当たりもいい。溶けると糸を引いて、ピッツァなどにも向いている。(シュレッドチーズは、このタイプが多い)
また、ゴーダやチェダーはプロセスチーズの原料にもなっているので、味が似ている。
そんな理由で、日本人好みなのだろう。
筆者がチーズショップにいたときも、ゴーダは人気のチーズの一つだった。
羊のPPNC |
オッソ・イラティの模様。 |
その非加熱圧搾タイプの特徴は何だろう?
まず、
- 切断したカイエの大きさが、加熱圧搾より大きく、ミックスより小さい。
- キューヴ内の温度が37〜40℃である。
- デラクトザージュ(Délactosage:英語ではウォッシングと云っている)を行う。
- プレプレッサージュ(Prépressage:予備圧搾)を行う。
切断カイエの大きさは、加熱圧搾が麦粒大(blé)、ミックスがカマンベールで2,5〜3cm角くらい。ゴーダ辺りだと、トウモロコシ大(maïs)、5〜8mmくらいになる。
デラクトザージュというのは、lactose、すなわちラクトースをカイエから排出させる方法である。乳清を30%ほど抜いて、37℃くらいのお湯を足すと、浸透圧によって、カイエ中のラクトースが乳清中に排出されるのだ。
ラクトースは熟成中に悪さをするので、長期熟成のチーズでは、このような方法で排除する。ちなみに、加熱圧搾タイプは、高温で処理するのでラクトースはほとんどカイエ中に残らない。だから、この工程は必要ない。また、PPNCのトム・ド・サヴォアはこの工程を行わないのが特徴である。
プレプレッサージュは、予備圧搾という意味で、切断してデラクトザージュしたカイエを大きなバット状の入れ物に移し、軽い重しをすることである。
その後に切り分けて、型に入れ、本格的に圧搾するのだ。
日本では、このタイプのチーズを作っているところが多い。
無難な選択なのだろう・・・
種類は、ゴーダ、チェダー、ラクレット、トム・ド・サヴォア、フォンティナ、マンチェゴなど。AOPとしては、オッソ・イラティ、サン・ネクテール、ルブロション、モルビエなどがある。
ラクレット・レティエ。スパイス入り。 |
ラクレットの表面をモルジュで拭いているところ。 |
自分のアトリエを持つための行動を少しずつ始めたところ。
ちょっと調べものなどが増えてきているので、先週は1回しかブログを綴れなかった。
なんとか週2を続けようと考えている。
先週末に食べようと思っていた自作のチーズは、たった1日であっという間に熟成が進み、過熟でトロトロになってしまった。食べてみたら、残念ながら、味が悪い。で、廃棄・・・失敗は成功の元、と家族に慰められた。悔しい・・・
第二弾をただいま熟成中。
小さいチーズなので、3週間の熟成でいいようである。
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