2014年5月6日火曜日

チーズを作る:山羊チーズ その1

さて、ゴールデンウィークも終わり、またいつもに日常が始まる。
この期間中、筆者の友人たち(もちろん、チーズ好きが多い)が、山羊の牧場に行ったり、山羊のチーズが季節だと話したりしていた。
では、なぜ今の季節が、ヤギのチーズの季節なのだろうか?

サーネンの子ヤギ。

この子は、混血のよう。でも、いつも金網を飛び越えて脱走して、捕まえるのが大変だった。

山羊は、2月に子を産む。
牛と違って、年がら年中、仔をはらむ事は出来ない。
なぜかと云うと、山羊の受胎能力が、光と関係しているからである。

フランスだと、多くの山羊農家は、群れを二つに分ける。
一つは、通常の繁殖。
もう一つは、人工的に繁殖時期をずらすのである。
群れの分け方は、牧場によるが、6〜8割がたが、通常繁殖になるだろうか。

人工的に繁殖時期をずらす群れの場合、小屋に入れて、光を少なくする。
薄暗い環境にするのだ。
山羊は、日照量が増えて(夏)、だんだん減ってくると(秋)受胎能力が出てくるので、人工的に、夏をずらし、9月に子を産むように調整をするのである。

山羊は、人工授精ではなく、夏の終わり頃から雄山羊(le bouc)と雌山羊(la chèvre)を一緒にする。
マコネは、一定期間、山羊を放牧しなければならないので、筆者のいた所では、この時期に一緒に放牧していた。
しかし、ブックはものすごく、クサい!
フェロモン全開といった所か。

夏の終わりの放牧。でかい角を持っているのがブック。

なぜ、群れを二つに分けて原乳を確保するかと云えば、理由は、やはりクリスマス。
フランスでも、秋口あたりから、チーズはものすごく売れる。
通常の繁殖だと、PPNC以外の山羊チーズは、ほとんどない。
山羊チーズの特色である、フレッシュがないのである。

AOPもしくは、AOCだと、この繁殖方法は、許されているが、チーズを冷凍したり、原乳を冷凍する事は、禁じられている。
また、いくつかのAOPでは、冷凍カイエを許可しているが、シェーヴルの規則を見直す動きが出てきて、冷凍カイエも禁止事項になりつつある。

農家も商売だから、一番売れる時期に商品がないのは苦しい。
筆者のレポートも、AOPでないチーズをどうやって保存すれば味を損なわずに繁忙期まで持たせられるか、というのが課題だった。

ちょっと解りづらいが、搾乳風景。

生乳の保存は出来るのだが、冷凍しておくと、場所をとる上に、脂肪の分解は進む。
余談だが、筆者はたまに山羊乳を分けてもらっていたが、絞り立ては全く臭みがない。
しかし、冷蔵庫に2時間ほど入れておくと、山羊独特の匂いが出てくるのである。
冷凍しても、同じである。

だから、冷凍カイエが合理的だが、冷凍カイエは一定の割合で利用する事が決まっている。冷凍カイエ100%でAOPのチーズは作れない。
生乳と混ぜて使う事が義務づけられているのだ。
だから、9月に原乳確保は、大事なのである。

2月に仔を産んで、乳が絞れるようになっても、3月中は乳質が一定しない。
筆者も、レポートを書く時に分析したが、驚くほど蛋白質と脂肪の量が多い。
2月に子を産むといっても、全部が同じ日に産むわけでもないから、3月いっぱいは、乳質が安定しないのである。

脂肪分が多いとチーズは水っぽくなるので、熟成の欠陥につながる。
だから、3月いっぱいは、いいのと悪いのと、玉石混交である。
4月になると、だいぶ落ち着くが、原乳がまだ3月分なので、まだまだ。
5月になって、やっと乳成分が安定し、おいしいチーズが出来る。

というわけで、今回は、山羊の話になってしまった。
長くなりそうなので、山羊のチーズについては、次回お話ししよう。

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