ミモレットが有名であるが、固くて乾燥したチーズで、表面を手入れしないものに繁殖して、表皮を食べている。
じゃあ、このダニ、何だろう?
シロン(le ciron)は、コナダニといわれる、ダニの一種である。
ダニは、昆虫とは違い、足が8本、クモなどに近い種で、20000種以上が確認されているようだ。
その中で、コナダニといわれるものは、文字通り、粉、小麦粉などにつく。
そして、硬くて、乾燥した表皮のチーズも好きなようである。
このダニの写真を見つけたので、URLを貼っておこう。
http://fr.wikipedia.org/wiki/Ciron_(arachnide)#mediaviewer/Fichier:Grain_mite_1.JPG
先述した通り、ミモレットが有名であるが、表皮が固くて乾燥したチーズには、だいたいいる。ミモレットは、このダニのおかげで美味しいという噂もあるが、化学的根拠はないそうである。
農家製のミモレット。丸くない。 |
これも農家製ミモレット。Petite:小さいもの。 |
表皮が固くて乾燥したチーズというのは、結構ある。
コンテなども、モルジュで手入れをしないものは、このダニのせいで、表皮がぼろぼろになっている。トムにもこのようなチーズがあり、トム・セロネ(la Tomme Céronnée)という。ミモレットの様に表皮がぼろぼろである。
URLを貼っておこう。
http://www.produits-laitiers.com/fromage/tomme-ceronnee/
このチーズの説明の面白い所は、意図的にカーヴに放っておいて、ダニに表皮を食わせ、典型的なスパイスのような、クルミのような匂いを持たせるのだという所である。
真っ白に粉を吹いたようになっているミモレット。 これをカーヴにおいて、新しいチーズに移すのだ。 |
このチーズダニが繁殖したチーズの共通点を見つけた。
それは、このダニが繁殖したチーズには、アミノ酸の結晶が多く見られるという事である。なぜそうなるかというと、
- チーズダニが表皮をぼこぼこにするという事は、チーズの表面積が増える。
- 表面積が増えるという事は、水分の蒸発が進む。
- チーズの生地が濃縮し、アミノ酸の結晶が出現する。
- そして、旨味が増える。
羊のチーズ、30か月熟成。表面がぼろぼろ、中にアミノ酸の結晶が見える。 |
コンテもこの方法で熟成させたものは、水分が少なく、アミノ酸の結晶が多い。
また、筆者が働いていた、山羊チーズの工房ににもこのようなチーズがあって、好きな人に売るのだと聞いた。
友人がこのチーズを買って、家族で食べようとしたとき、息子さんがダニを発見。
「虫がいる!」と騒いだあげく、「僕は、熟成の若い山羊チーズしか食べない!」と宣言する一幕もあった。
筆者は目が悪いので、あまりよく見えなかったが、もぞもぞ動いている小さいものがあったのは解った。
山羊のチーズダニ熟成。 |
どんなもんかと食べてみたが、別にどうってことない。
美味しくはないが、おなかもこわさなかった。
皮を取って食べた方が、美味しい。
人間とこのような小さな生物の関係が、おいしいチーズを生み出していると思うと、自然ってすごいなあと思う。
人間に有害なダニと、役に立つダニを区別しないとね。
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