日本だと、ワイン関係の言葉として使われているようだが、もっと広い意味でも使われる事がある。
"Produits du terroirs"は、「郷土色の強い生産物」と云ったような意味になるだろう。
特に、食べ物に対して、使われる事が多い。
アルザスの市場。地元産のチーズが多い。 |
筆者がフランスでとった講座の一つが、これである。
"Licence Professionnelle Responsable d'atelier de productions fromagères de terroir"
「地域特産品のチーズ工房の製造責任者資格」とでも訳そう。
筆者は、この講座の第一期生。
日本で申し込んで、のこのこポリニーまで面接しに行った。
入学試験は特になく、申し込んでから書類選考があって、面接があり、受かれば入学許可が出るのである。講座の責任者に、
「初めて作る講座の一人目の候補者が日本人なのね!」
と言われた。
コンテの熟成庫。天井まで目一杯棚があるので、機械で表面を手入れする。 |
一期生という事で、講座もあたふたしている所があった。
例えば・・・
いくら待っても、先生が来ない。事務所に聞いても、先生に連絡がつかず、授業がお流れ。後で聞いた話だが、入院していたとか・・・
また、ジュラのチーズを学ぶような授業構成だったのだが、実習が極端に少なく、筆者も同級生も不満だった。
どちらかと言うと、講義が多く、みんなこれでいいのかな?と思っていたようだ。
しかし、今から思えば、とてもいい講座だった。
実習は、企業研修で、いくらでも出来るのだ。
その中で、何が問題なのか、こういう場合は、どうしたらいいのかを、授業と研修で学ぶのが目的なのだから。
筆者は残念ながら、コンテの工房で研修は出来なかったが、ジュラのチーズの事をかなり詳しく学べて、本当によかったと思っている。
そして、その時に実感したのが、「テロワール」の重要性だ。
ワインは、農産物だから、直接製品に関係しているが、チーズの場合は間接的になってしまう。
それでも、牛の餌などを研究し、テロワールとどのような関連性があるのかを調べようとしている姿勢に感心した。
コンテは、コーペラティヴで作るが、集乳は、その半径25km以内と決まっている。
その半径の中の植物層を調べて、味の分析をしているチームもあるのだ。
ジュラのコンテの工房の地図。この一つ一つの工房の半径25km以内で集乳している。 ジュラは、地層が入り組んでいて、複雑な構成をしている。だから、植物層が変わるのだ。 |
コンテ用のモンベリアルド牛の餌は、夏は放牧で青草、冬は干し草である。
その青草の植物層が、同じジュラであっても違うのである。
原乳の成分が変わるので、同じジュラのチーズであっても工房によって、味が変わる。
筆者は、この点が素晴らしいと思うのである。
チーズは生き物である。
同じ作り方をし、同じ地域で作っていても、味が違う。
たとえ、工場製であっても、似通った味を作るのが精一杯で、同じ味は作れない。
とかく、経済性を考える人たちは、同じ味にこだわるが、無理だよな、と思う。
筆者は、工場製のチーズを否定しているわけではない。
あれは、あれで重要だ。
しかし、地域に根ざした食べ物の重要性は、それとは別だと思う。
日本の場合だと、農産物、畜産だと、肉などがそれにあたるのだろうか。
おそらくチーズも、意識のある人たちが動いていると思うけれど、テロワールと言う考え方は、なかなか一般的になっていないように思える。
筆者が多摩地区に工房を設けて、多摩地区の牛乳(あれば、山羊も使いたい)を使ってチーズを作りたいというのは、この「Terroir」を実践したいという思いからだ。
小さなチーズ工房の、確か山羊のウォッシュ。 |
工房も場所が決まりそうである。
まだ、決定ではないが、ほぼ決まりかな?
もっとのんびり進めるつもりが、ここの所、加速してきたようで、やる事が山積みになっている。
でも、ブログは続けますよ!
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