2014年2月25日火曜日

チーズを作る:本物のチーズ?

昨日、週刊現代を買った。
「スクープレポート あなたは何も知らずに食べますか」に引かれて購入したのである。
この記事には、「見た目は『本物』、中身は『別もの』がスーパーにはいっぱい並んでいた」というサブタイトルがついている。その記事の中の「牛乳」を読むと、さもありなんと感じた。

この記事の中の表で、牛乳の項目を見ると、「加工乳」の説明がしてある。
いろいろ添加してるのなら、「牛乳」と呼べないのだから記述に問題はないが、中身が牛乳とはだいぶ違うものになっている可能性が高い。

脱脂粉乳を水で溶かして加える。
油分を補うために油脂を加える。この記事中ではバターを油脂として加えるとなっているが、安い植物性油脂の可能性も大きい(根拠は後で述べる)。
加工乳と表示すれば、何でもありのようで、恐ろしい。

「本物のチーズ?」という見出しを付けたのは、チーズの業界でも同じようなことが起こっているからである。
筆者はフランスで、工場製のチーズの作り方も学んだ。
農家製のチーズだけでは、知識不足だと考えたからである。
その時に、こういう事も学んだのである。

フランスでは、牛乳が余ると、脱脂粉乳とバターに加工して保存する。
いい考えだと思うが、問題は、脱脂粉乳である。
余り気味だそうで、それをどうするかという問題が出た時に、
そう、勘のいい方は、解っただろう。
もう一度これを使ってチーズを作ろう、という事になったのである。

脱脂粉乳に水を加えて液体にする。
それに、安い植物性油脂、パーム油などを加えてもう一度牛乳のようなものを作り、固めてチーズ?にするのである。バターは値段が高いので使わない。パーム油脂は、安価な植物性油脂の中で、組成が一番、乳中の脂肪に近いのだそうである。
工場製のチーズで、セミハード(PPNC)などは、この手がある。

筆者が工場製チーズの講座をとっていたとき、同級生や先生など、工場製のチーズに携わっている人たちは、あまり疑問を感じていないように見えた。
それどころか、最新の技術を駆使して製品を作る事に喜びを感じているように思えた。
反対に、コンテを作る講座の同級生や先生などは、工場製のチーズに批判的だったのが印象的である。
食に関してこだわるフランスも揺れているのかなと感じたものだ。

日本に輸入する場合、どう記述しているのか解らない。
ただ、このような「チーズ?」は、おそらく業務用のチーズになっているだろうと考えられる。原乳を「生乳」とは記載できないだろうから、そのまま、「ナチュラルチーズ」と記述できないと思う。

こういう事を書くと、チーズの団体から怒られるかもしれないが、記述をきちんとすればいいのではないか?例えば、原材料を脱脂粉乳と植物性油脂、とか。
「生乳」は、使えないものな。
しかし、プロセスチーズに記載してある、原材料名の「ナチュラルチーズ」はくせ者だ。

筆者は、知らせない、知らないというのが困りものだと思う。
知っていて選ぶのなら、納得して買っていると考えられるが、知らなかったら、だまされたようなものだ。
週刊現代の記事を読んだら、どういうものが本物か、見定める事ができる。

こう考えてくると、食べ物に関してうさんくさい事が沢山ある。
特に加工品は、何だか解らない原材料名が多い。
信用できるのは、自分で作ったものだけになりそうだ。

今回は、少し違う切り口になったが、食べ物に関して関心があるので、こういう形になった。
筆者は農家製のチーズが一番と思っているわけではない。
工場製も、この需要を考えれば、必要だ。
しかし、原材料を明記するのは、常識と考える。
日本でどの程度、チーズに対して、前述の製造方法が用いられているのか解らない。
乳製品に対する日本の法律は、外国ほど細かくないので、法整備をし、きちんとした情報を国民に知らせてほしいものである。

1 件のコメント:

  1. チーズの製法はCODEXで長年種類別に議論されており、今も続いております。生乳に脱脂乳やバター脂を添加する事もこの10年で法的に可能になりました。日本はチーズの製造技術では相当欧州から学ぶべき点があると思いますが、法規はほぼ世界的に統一されており、異脂肪(たとえば植物油)を使う場合は、ナチュラルチーズと呼べず「乳主原」と表示されますし、そのようなイミテーションチーズは世界中にあります。

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